【法律コラム】救急車の有料化に賛成の人は◯割!?海外では数万円かかることも
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みなさんは、自宅・外出先などに限らず、急病などで救急車を要請した経験はありますか?
筆者は幸いにもお世話になったことがありませんが、事故現場からの搬送や、急病で倒れた、動けなくなってしまったなど、救急車の出動要請は日夜どんな場所でも起こり得ることです。救急車の迅速な出動で、命が救われるケースもたくさんありますよね。
しかしその一方で、救急車をタクシーの代わりのように呼んで、出動させる人もいるようです。もちろん、タクシー代わりと言っても、「駅まで行ってくれ」みたいな人がそうそういるわけではないでしょう。
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■どのような不適切な利用があるのか?
本来ならば、緊急の場面で出動するべき救急車が、とても緊急とはいえない場面で出動するケースが実は最近増えてきているようなのです。東京消防庁のホームページに掲載されている、実際に救急車が出動した「救急車利用の不適切な例」を少し見てみましょう。
ケース① 60代女性
当日病院に入院する予定が入っていて、自分で行くとタクシー代など交通費がかかってしまうという理由で、救急車を要請。
これはもう完全にタクシー代わりで呼んでしまっていますね。
ケース② 40代男性
料理中に包丁で指を切ってしまった男性。切った指の傷口からの出血はすでに止まっていたが、それにもかかわらず、「整形外科の専門の医師がいる病院に連れて行ってほしい」と救急車を要請。
こうしたケースなら、特殊な場合を除いて、きちんとした処置を施せば、病院に行くほどですらないと思うのは、筆者だけでしょうか(苦笑)。
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■半数以上は有料化に反対だけど…
しかし、前述のようなケースが常態化してしまうと、みなさんのなかにも「救急車出動の有料化もやむを得ない」という意見を持つ方もいるでしょう。
現に、財務省は、今年5月に行われた財政制度等審議会(財務相の諮問機関)のなかで、諸外国の例などを参考に、軽症の場合の有料化の検討を案として提示しました。
そこで、本コラムでは救急車出動の有料化についての意見を、マインドソナーを使って聞いてみました。
多くの人が有料化には「反対」のようですが、3分の1の方が「賛成」という結果には驚きです。やはり救急車の使い方に対する問題意識も少しずつ増えているのでしょう。
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■海外では出動に72000円もかかる!?
有料化の検討が行われているとはいますが、現状では、日本では救急車の出動は一般的には無料で行われていますね。
法律にも料金の定めがあるわけではありません。もちろん、民間で救急サービスを行っている事業者もいて、それを利用する際には、一定の搬送金額を支払う必要があります。けれども、海外に目を向けると、一回の救急出動に際して数万円かかることも…。
たとえば、アメリカのニューヨークはどうでしょうか。(以下出典は外務省 在外公館医務官情報)
・救急車に関する費用として600ドルほど(およそ72000円)
次に、フランスの例もみてましょう。
・S.A.M.U.という公的な緊急医療援助の機関に連絡。救急車出動に関する料金は基本料金が約60ユーロ(およそ8160円)+1キロあたり約2ユーロの距離料金加算。
日本の常識で考えたら、かなり「高いな」と思いますよね。けれど、いずれ日本にもこうした諸外国と似たような仕組みになるかもしれません。そうなると私たちは、より一層適正な利用を心掛けたいところです。
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■「救急受診ガイド」や「#7119」を知っておこう
救急車を呼ぶにあたっては、「救急受診ガイド」という形で、救急車を呼ぶべき症状なのかチェックできるサイトがあり、自治体の消防局などが事前利用を呼び掛けている地域もあります。
重症の場合や、やむを得ない場合には、そもそも確認する余裕もないかもしれませんが、比較的軽症の場合には、こうしたサイトで情報をチェックして判断できるといいですね。
また、電話の場合は「#7119」にダイヤルすれば、救急車を呼ぶべきかを救急相談センターに相談できます。119番に電話すべきか迷ったら、#7119番も活用してみてください。
救急車出動の有料化については、専門家の間でも賛否両論もあるため、現実化はまだ遠い将来の話かもしれません。けど、本当に救急車を必要とする人にとって、利用しやすい仕組みという部分は変わらないでほしいですね。
(文/弁護士・佐藤大和)