メイド・イン・チャイナってそんなにダメ?アパレル業界人が明かす現代の中国製と日本製
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こんにちは、スタイリストの久保田(フランソワ)です。じつは、ことアパレルに関しては、必ずしも「メイド・イン・チャイナ」が「メイド・イン・ジャパン」より劣っているとは限りません。
■「世界の工場」としての中国工場の躍進
ここ15年あまりで、中国のアパレル生産工場は飛躍的に進歩しました。今では日本よりも優れたミシンや機材、最新の技術を導入している工場もたくさんあり、誰もが知ってる世界的有名ブランドも中国の生産工場に依頼するほどです。
以前訪れた中国工場でも、超有名イタリアブランドのバッグを作っていました(もちろん正規品、本国のブランドと正式契約)。
ただし、生産委託のための約束ごとや基準がめちゃくちゃ細かく定められていて、ひとつの商品を作るごとに厚さ10センチ以上あるルールブックが毎回渡されたそうですが。
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■日本工場の高齢化
対して、日本の工場では高齢化が進みまくっていて「労働者の平均年齢60歳」なんて工場もざらにあります。ファッションブランドをやりたい若者はいても、工場の縫い子さんになりたい人はほとんどいないのが現状。
やむなく若い労働力として外国からの出稼ぎ労働者や留学生、中国・韓国からの技術研修生を雇うことになるため、形としてはメイド・イン・ジャパンでも、実際に作っているのは中国人、というケースも少なくありません。
もっとも工場の管理体制や検品基準の厳しさなど日本ならではのメリットはありますので、一概にどちらが優れているとは言えませんが。
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■「メイド・イン・PRC」って?
ところで「made in PRC」とは、どこの国で作られたものかご存じですか? 数年前からこの表記の商品を見かけるようになりましたが、実はこれも中国製なんです。(中華人民共和国 = Peaple’s Republic of China = PRC)
中国工場さんに聞くと
「だってmade in Chinaだと売れないでしょ」
と、あっけらかんと言っていました。
したたかというかなんというか……。でも見方によっては「メイド・イン・チャイナは粗悪という古い先入観に縛られず、物としての良さを見てほしい」という作り手のメッセージとも取れるのではないか、と思うのです。
TPPの影響もあり、今後海外からの輸入がますます活発になっていくでしょう。
賢い消費者のみなさんには、ただ闇雲にメイド・イン・ジャパンをありがたがるのではなく、実際に自分の目で見たうえで良いものを選びとるようにしてほしいと思います。
(文/久保田フランソワ)