歩道でも車に轢かれる?信号も救急車もあてにならない中国の交通ルール事情
日本をはじめ、先進国では交通ルールが厳格に規定されていることが多い。しかし、自国の交通ルールが必ずしも他国で通用するとは限らない。自国の交通ルールを基準にすると、ときにはとんでもない目に遭遇することもあるのだ。
そこで、記者の滞在する中国での“交通ルール”がどのようなものか、証言を含めて紹介してみたい。
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◆歩行者信号はアテにできない
歩行者信号は青なのに、道を渡り始めたとたん、車に轢かれそうになる人は多い。それもそのはず、標識で指定がなければ、車は「赤信号でも右折ができる」のである。
歩行者①の場合、左をよく見て渡り始め、前方から来る車に気をつけて渡り終える。しかし、歩行者②の場合、“左後ろ”という死角から車が来るのである。
そこで車は止まるのか。否。残念ながらほとんどの場合、クラクションを鳴らしつづけて右折。まさに「車優先」状態だ。
「横断中、前方から右折してきた車が止まらなかったのでボンネットを“バン!”と叩いたら、車は急停車。運転手が出てきて喧嘩になった。あっという間に周りは野次馬だらけになったよ」(60代イギリス人男性)
また、自転車やバイクの信号無視も多く、常に周りに気を配らなければ無事に道は渡れないのである。
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◆「赤信号 みんなで渡れば 怖くない」?
歩行者信号をアテにできないから信号無視をするしかない、という人が多い。右車線通行の中国では、左側にいる人に合わせて動き出すと渡りやすいそうだ。
「我が家には“日本ルール”と“中国ルール”が存在します。いけないのかもしれないけれど子供にもそう言ってます。そうでもしないと道は渡れないし、この国では暮らしていけません」(30代日本人男性)
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◆歩道は歩行者専用ではない?
歩道を歩けば安心と思いきや! 自転車、バイク、さらには車まで走り抜けるのだ。
「歩道に面した店で買物後、突然車と衝突。警察を呼んで45分、事情聴取は道端で、加害者の車で病院へ行き、またもや道端で警察官に一筆、署名。トータル3時間近くかかりました」(40代日本人女性)
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◆救急車は「遅い、高い、使えない」の三拍子
交通事故の際の救急車にも問題がある。日本と違い来るまでに時間がかかり、さらには有料だ。費用は国で決められてはいないので、地域で差があるとのこと。よって、余程の怪我でない限り、被害者はタクシーなどで病院へ行くという。
「タクシー乗車中に事故に遭い、運転手が警察を呼んだけどすごく時間がかかった。救急車は有料でけっこう高く、来るのが遅いと聞いていたのと、ちょうど近くに病院があったのとで、自力で病院へ行きました。そこでも時間がかかって大変だったけど」(20代中国人女性)
昨今は海外保険もあたりまえ、海外在住者向けの保険サービスも充実している。しかし、生命危機は時間との勝負。他国において、ときには交通ルールに目を瞑ってでも“自己責任”で“自己防衛”をしなければならないこともあるのだ。
(文/しらべぇ編集部・ジュンジュン)