リニューアルした「明治丸」が一般公開、船内には謎の植物画も
東京都江東区の東京海洋大学内にある重要文化財「明治丸」がリニューアル公開した。
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■船を間近で見ると
明治7年(1874年)、イギリスのグラスゴーで建造された明治丸は、明治9年に明治天皇が全国巡幸の際に乗船された船だ。巡幸の最後に横浜港に到着されたのが7月20日だったことから、海の日の由来となった。
明治29年、東京商船学校(現在の東京海洋大学)に譲渡。第2次世界大戦後、アメリカ軍に接収されたこともあったが、再び同校の所有となり、昭和53年に船として初めて重要文化財に指定された。
鉄船の明治丸は、溶接などで造られる現在の船(鋼船)とは大きく異なり、リベットによる接合だった。そのため船の間近に行くと、リベットの跡を見ることができる。
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■約2年の修復工事
老朽化が進んだため、同大学と文化庁が協力して、平成25年12月から修復工事を開始。平成27年3月には外装のリニューアルが完了。工事の進捗とともに、10月から甲板を、11月から内部を一般公開している。
以前は痛みが目立った甲板やマストもきれいになった。
内部はこんな具合だ。
ちなみに一般船室(左下)でもベッド(部屋にもよるが、幅約60センチ、長さ約1メートル70センチ)とソファのみ。お風呂があるのは、後述の御座所だけだ。
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■明治天皇の御座所も
明治天皇専用のお部屋である「御座所(おましどころ・ござしょ)」もリニューアルされた。以前は中まで覗けたものの、現在は入り口がガラス張りだ。
その代り写真で詳しく紹介している。
興味深いのは御座所の壁を彩る植物画だ。アメリカ軍に接収された折に、上からペンキを塗られてしまったものの、返還後に丁寧に取り除いて修復したとのこと。
桐や藤など、9種類の植物を描いている中で、1枚が「不明」となっている。
こげ茶の枝に緑の葉、そして赤っぽいもの(花?実?枯れ葉?)が描かれている。果たして何の植物だろうか。
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■今年の訪問はお早めに
港などで行われるイベントで帆船の人気は高い。明治丸は陸地に固定されているため、少々残念な部分があるものの、雰囲気は十分に味わうことができる。
毎週の火曜、木曜、第1・3土曜日の日中に無料で公開中。ただし12月16日から2月15日までは冬期休館になるため、「今年中に見たい」と思う人は、お早めにどうぞ。
東京海洋大学「重要文化財明治丸」
【場所】東京都江東区越中島2-1-6 東京海洋大学越中島キャンパス内(営団地下鉄東西線「門前仲町駅」から徒歩15分)
【開館日】毎週火・木、第1・3土曜日
【時間】10:00~16:00(4~9月)、10:00~15:00(10月~3月)
【休館期間】8月1日~31日、12月16日~2月15日
(取材・文/しらべぇ編集部・県田勢)