東大の『推薦合格者発表』に東大落ち早大生がブチ切れ
今月10日、東京大学が創立以来はじめて実施した推薦入試の結果を発表し、注目を集めている。
合格者は77人で、想定していた募集人数は下回ったものの、相原副学長は「各学部から、良い学生を獲得でき、手応えがあったと報告を受けた」と語ったそうだ。
推薦入試導入の経緯は「学力では把握しきれない、多様な能力を持った学生を受け入れる」ためと言われている。日本一の難易度を誇りつつも、企業経営者やノーベル賞受賞者輩出数で他大学に劣っている現状を危惧したようだ。
■東大の推薦入試導入に賛成?
テストのみで選別し、面接すらない従来の東大の入試システムは「点数主義」「官僚養成所」などの批判の声がありつつも、採用者の私的感情が入らないという意味では、とても公平でもある。
日本の受験システムを変えるかもしれないこの改革に対して、世間はどう思っているのだろうか?
アンケートサイト「マインドソナー」で尋ねたところ、「東大の推薦入試に反対だ」と答えたのは全体の23.5%。圧倒的多数で賛成派が上回ることになり、推薦入試が今の日本でいかに当たり前と考えられているかがわかる。
関連記事:女子高生社長を叩く人に経営者が苦言「操り人形を全力攻撃する愚かな行為」
■早大生がブチ切れる理由とは?
意外な人たちがこの『東大の推薦入試』に激怒していると言う。それは、『東大を受けたものの落ち、すべり止めで入った早稲田大学に通う学生たち』だ。
しらべぇ取材班は現役・浪人と二年連続で東大入試に落ちた経験を持つ、早稲田大学2年のKさん(文化構想学部)に話を聞いた。
①東大のブランド価値を下げるだけ
「東大は国内最高の偏差値を誇り、点数第一主義ですが、それが何よりのブランド。中途半端に推薦を導入して今っぽくしても、ブランド価値を下げるだけだと思います」
②推薦では個性的な生徒は来ない
「現行の推薦入試は教師に従順な『真面目ちゃん』が選ばれる傾向にあり、スティーブ・ジョブズみたいな問題児ギフテッドは選ばれません。早稲田でも、推薦と内部進学のレベルの低さは問題になっていますからね」
③高校生の時点で優秀な生徒=見込みがあるとは限らない
「だいたい、高校生の時点で才能を発揮してるってごく一部じゃないですか? 早摘みすることで、ほかにもっと将来性のあった芽を摘めなくなったら無意味では?」
④そもそも東大に個性的な人材はこない
「もともと東大はエリートが行く学校って認識がありますが、それは東大受験生も同じ。もともと個性的な奴は京大や早稲田に行くし、そうでなければ最初からケンブリッジとか行っちゃいます。いい意味でも悪い意味でも、東大は『勉強のできる学生の夢』なんですよね」
⑤落ちた早大生が納得できない
「早稲田に入るとわかりますが、東大落ちなんて山ほどいるんです。それだけ、多くの学生がチャレンジして、敗れていってるんです。現役東大生を見ると『俺の屍を越えていけ…』って思うんですよ。それなのに、AO入試なんていう甘っちょろい制度…。許せませんね」
過去の東大受験者にも思わぬ感想を抱かせた今回の改革。合格者たちが切り開く未来がどうなるのか、長い目で見守りたい。
(取材・文/しらべえ編集部・岡本拓)