怪獣の元ネタは恐竜?円谷プロを救った「恐竜三部作」とは

2016/05/23 19:00


こんにちは、モノブライトのベース、出口です。 戦後から今日に続くテレビ番組の歴史を紐解くと、特撮作品がもたらした功績は多大な影響があります。

その最前線を走り続け世界に誇る日本産特撮のトップは、ウルトラマンを生み出した円谷プロでしょう。しかし、その円谷プロも一時期は冬の時代を過ごしているのです。

この冬の時代を救った作品を、皆さんはご存知でしょうか? 今回は円谷プロを救った「円谷恐竜三部作」をご紹介したいと思います。


①恐竜探検隊ボーンフリー

1976年に放送された、恐竜三部作と呼ばれるシリーズの記念すべき第1作目です。

※画像出典Amazon
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現代に現れた恐竜を保護するために結成されたボーンフリー隊が活躍するお話。特定のヒーローが登場しない珍しい作品で、特徴は特撮とアニメを融合させた映像表現です。

特撮以外の人物や基地内のドラマパートがアニメになっていて、実写とアニメを融合させた「立体アニメ」と呼称される表現方法を確立しました。

人物の場面をアニメーションにすることによって諸経費を削減し、限りある予算を特撮に注力してヒーローが登場しなくても迫力満点の見応えある特撮作品に仕上げる新しい方法論を確立させたのです。

しかし、「現代に現れた恐竜」を表現するため着ぐるみの他にストップモーション(1コマずつ撮影する)を用いたことから、制作期間が破綻し25話で放送は終了。

残念な終末を迎えますが、これが円谷プロ復活ののろしになるのです。


②恐竜大戦争アイゼンボーグ

ボーンフリー放送終了後半年の期間を経て特撮とアニメの融合である「立体アニメ」を受け継いだ第2作目が『恐竜大戦争アイゼンボーグ』(1977年)。

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※画像出典Amazon

恐竜を保護することを目的としていた前作から180度方向性を転換し、人類に宣戦布告した超能力を持った恐竜とスーパーメカを用いて戦う展開。

後半からは巨大ヒーロー「アイゼンボー」が登場し、円谷プロらしい作品に仕上がっています。

特筆すべき点はアクションの鋭さでしょう。とくに第31話のアイゼンボー対偽物アイゼンボーの戦いは超絶的な身体能力を発揮し、カンフー映画さながらの高速バトル。

それもそのはず、スーツアクターはウルトラマンレオを演じていた格闘技の達人、二家元辰巳(にかもとたつみ)氏。70年代特撮におけるヒーローアクションのひとつの到達点がここにあります。


③恐竜戦隊コセイドン

円谷恐竜三部作の最後を飾るのは、集大成ともいえる『恐竜戦隊コセイドン』(1978年)です。

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※画像出典Amazon

恐竜の保護を目的としたボーンフリー、超能力を持った恐竜軍団と戦うアイゼンボーグ。どちらも現代が舞台だったのに対し、コセイドンの舞台はタイムトラベルが可能になった未来(劇中では2001年)と中生代白亜紀。

現在と過去のタイムパラドックスや恐竜時代の地球へ侵略を仕掛けてきた異星人との戦いが主題になり、SF色が強い作風が特徴。恐竜の存在が副次的なものになっているのが過去2作品と異なります。

そして、いちばんの特徴であった立体アニメが排され全編実写撮影に切り替わります。

このことから、余裕のある制作時間と制作費がかけられる環境が整っていたことが推測され、万全の態勢でコセイドンがスタートしウルトラシリーズ不在だった70年代後半の円谷プロを救った、と言えるのです。


■恐竜への愛

70年代に起こった恐竜ブームを取り入れ子供の夢を具現化させた円谷恐竜三部作は、最後まで恐竜を完全な悪者として描きませんでした

この優しさとロマンを大切にする姿勢こそが、特撮テレビ番組の本懐だと思います。 ちょっとマイナーな作品ですが、是非ご覧になってみてはいかがでしょうか?

(文/モノブライト・出口博之

コラム特撮
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