13年後に期待 新型「セレナ」自動運転はまだ発展途上
「え、まだ自分で運転してるの?」という時代が訪れるかもしれない。
日産自動車がこの夏、自動運転技術「プロパイロット」を搭載したクルマを発売する。国内自動車メーカーとしては初で、 搭載されるのは人気のミニバン「セレナ」。同社が開発した自動運転技術「プロパイロット」とはどんな技術なのだろうか。
■高速道路と渋滞時に威力を発揮
同社によると「プロパイロット」は、高速道路の単一車線上で有効な自動運転技術。フロントグラス上に設置したカメラで前方のクルマと道路の白線の位置を把握し、得られた情報を元にアクセル・ステアリング・ブレーキを制御する。
併せて、前方のクルマとの車間距離を保ちながら車線中央を走行するようコントロールする。たとえば、前方のクルマが停車した場合も、運転者はブレーキの操作が不要。自動で止まり、停止状態を維持する。
車列が動き出した場合は、スイッチを押すかアクセルペダルを軽く踏むだけで追従走行を再開。システムの起動・設定はスイッチ操作で行うことができ、状態は専用ディスプレイで把握できるという。
ペダル操作で足がだるくなりがち渋滞時には役立ちそそうだ。
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■「自動運転」にはあと一歩
確かに渋滞時が楽になるいうメリットはありそうだが、思い描いていた「自動運転」とはかけ離れていると感じた人も多いのでは。
古くは「ナイトライダー」の「ナイト2000」のような呼びかけに応じ、移動はもちろん、会話での意志の疎通すら可能なクルマこそが「自動運転車」のイメージだ。そういった意味では「未来っぽさ」に乏しいという印象を拭えない。
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■大きな未来への第一歩
地味ともいえる自動運転車・国産第一号だが、政府が2014年に定めた「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」によると「自動走行システム」のレベル2の要件を満たしている。
SIPの掲げる同システムの開発の目的は、交通事故死者数の低減。「楽に運転をすること」よりも「誤操作による事故を未然に防ぐこと」が目指すところといえそうだ。
ちなみにSIPのロードマップでは、2017年にアクセル・ステアリング・ブレーキの複合的な制御(レベル2)を達成し、2020年には、高速道路上でそれらの操作を全て自動車が行い緊急時のみドライバーが対応すればよいレベル(レベル3)を目指す。
それ以降は、一般道での適用を含め2030年には一般への普及をもくろむものの、ドライバーが運転に全く関与しない状態(レベル4)の実現目標については、今のところ明確にしていない。
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■13年後に期待
携帯電話の世界になぞらえてみると、一般に携帯電話が広まるきっかけとなったNTTドコモの第一世代のサービスであるmova(ムーバ)が始まったのは2000年。指紋認証センサーを持つiPhone5Sが登場したのが2013年だ。
13年という時間は、技術の進化にとっては十分な時間。13年後には「え、まだ自分で運転してるの?」という時代が訪れるかもしれない。
(取材・文/Sirabee編集部)