くま川鉄道の応援切符が販売見合わせに 萌えキャラの何が問題なのか
熊本県内にあるローカル鉄道会社「くま川鉄道」が、8日に発売予定だった『くま川鉄道特別応援切符』の発売を見合わせると発表。
その理由は、使用しているイラストが18禁ゲームのものと酷似していると市民から人吉市議会に情報提供があったためだ。
■何を発売する予定だったのか
発売予定だったのは、くま川鉄道を走る電車・田園シンフォニーの列車5両をイメージした美少女キャラクターを使った一日フリー乗車券5枚組。
スマホアプリを使用することにより、AR機能でキャラクターと一緒に旅ができる仕様だ。
乗車券の他に専用ケース、声優によるオリジナル車内放送入りのサウンドトラックCDが付く予定だった。
発表されてた。
というわけで、熊本県にある
くま川鉄道の歌を作詞させていただきました!
歌うのはペガサス幻想やボウケンジャーのNoBさんです!!
10月にある日比谷の鉄道フェスで買えるのかな?
よろしくお願いいたします。 pic.twitter.com/uscq2DMgtN
— ひろむ☆営業再開 (@yoyogirobota) September 27, 2016
この企画に協力したのは、デジタルノベルブランド「Lose」。もともと、人吉を舞台モデルにした18禁ゲーム『まいてつ』を作っている。
しかしこのゲームとのコラボではなく、あくまでも別物だ。ボランティア(無償)のため、企業名もゲーム名も入れていない。
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■似てはいるが…
確かにくま川鉄道がTwitterで紹介している応援切符のPVを見ると、キャラクターもロゴも似ている。
こちらはPV内の映像。
そしてこちらは、ゲーム「まいてつ」のイラストだ。
https://twitter.com/lose_net/status/771314605515689984
公式サイトの立ち絵などを比較しても、確かに衣装を変えただけでは? と思える。酷似しているという点は否定できないだろう。
しかし、そもそも「18禁ゲームのビジュアルと酷似している」のは問題なのだろうか。
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■18禁ゲームからアニメ化された作品は多い
もちろん、鉄道利用者には18歳未満も多い。しかし国土交通省とも協議し、九州運輸局が許可した商品の発売、しかも製作済みのものを青少年育成の観点という理由で止めるべきだったのだろうか。
たとえば徳島阿波踊りのポスターに使われている「Fate/stay night」は、もともとは18禁PCゲームだ。人気アニメ「魔法少女リリカルなのは」も18禁ゲームのスピンオフ。ほかにもアニメ化された作品は多い。
興行収入が100億円を突破し、日本映画史上トップ10にランクインした『君の名は。』の新海誠監督も、出身は18禁ゲームブランド『minori』であることは広く知られている。
何が良くて、なにがダメなのか。そしてそれを判断するのは誰なのか。表現の規制が広がっていかないことを祈るのみだ。
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(取材・文/しらべぇ編集部・たつきあつこ)