「武田鉄矢だけで幕末以降の日本史が語れる」って本当?

2016/10/06 05:30


Yue_/iStock/Thinkstock
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Twitterで話題を呼ぶ投稿は、3種類に分けられる。

ひとつ目は誰かの不祥事を告発した画像投稿。最近の例では、新幹線運転士が足を伸ばす写真がまさにそれだ。

ふたつ目は投稿主の発言や行動が炎上する例。こうしたことは以前より少なくなったとはいえ、今なお迂闊なつぶやきでアカウントを燃え上がらせてしまう人がいる。

みっつ目は投稿が人々の共感や感心を呼び起こす例だ。これは上のふたつよりも頻度は少ないが、その分大きなリツイート数を稼ぐことがある。



■全員武田鉄矢

その中でとくに話題になったのは、武田鉄矢のひとり幕末時代劇」だ。

武田鉄矢は日本人の誰しもが知っているであろう俳優だが、幕末が舞台のドラマによく出演していることでも有名だ。武田自身も幕末ファンである。

そのことに目をつけたとあるTwitterユーザーが、こんな投稿をした。

武田が出演した幕末ドラマをつなぎ合わせ、「1人複数役」の画像を作ったのだ。この投稿は、驚異的なリツイート数を記録した。


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■弟子の敵とその弟子も

武田はTBSのドラマ『JIN』では緒方洪庵を、NHKの連続テレビ小説『あさが来た』では福沢諭吉を演じている。

緒方洪庵は大坂に「適塾」という私塾を持っていたが、福沢諭吉はその適塾出身の人物である。そもそも緒方は教育者として、優秀な人材を何人も輩出してきた男。彼がいなかったら、明治期における日本の急成長もなかったかもしれない。

一方、武田は大河ドラマ『龍馬伝』で勝海舟を務めていた。勝と福沢は、常に互いを罵っていたほど仲が悪いことで知られている。そんなふたりを同じ役者が演じるというのは、まさに皮肉である。


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■武田鉄矢ばかりの年表

そしてさらに、かつて日本テレビで放映された特番ドラマ『幕末青春グラフィティ』で、武田は坂本龍馬になっている。緒方洪庵から見れば龍馬は「弟子の敵対者の弟子」だが、武田はそれらをすべて演じ切っているのだ。

また、このようなツイートも注目を集めている。

画像末尾にある「総理大臣任命」と「暗殺」のくだりは、TBSの『パートナー〜愛しき百年の友へ〜』で武田が演じた犬養毅を指している。このように、武田はたったひとりで幕末期から昭和前期までの日本史を網羅しているのだ。

こうした役者は、他にいないこともない。たとえば現在放映されている大河ドラマ『真田丸』で真田昌幸役を演じた草刈正雄は、かつて『真田太平記』で真田幸村役を務めていた。西田敏行も大河ドラマで、徳川家康とその息子の秀忠を演じている。

だが、「ひとり時代劇」が成立するほどスケールの大きい役者は、武田以外に存在しないだろう。

こうした点に着目しながら鑑賞する歴史ドラマも、また違った味わいがある。

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取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一

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