「ただのスイッチ」に6億円!ある商品に世界中が熱視線
人間は、常に集中力を必要とする動物だ。
だから集中力を高めるためなら、一見無意味なことでも進んで行おうとする。たとえば、指先でペンを回すという行為もそれに当たるだろう。
世間では「プチプチ」と呼ばれている、緩衝シートの膨らみを潰す行いも言うならば「集中力を高めるため」である。そうしたものが、人間には必要なのだ。
■意味のないスイッチ類
クラウドファンディングサイト『Kickstarter』に現在出展されているのが、『Fidget Cube』という製品。
これは六面体にボタンやスイッチ、ダイヤル、スライドパッドなどがついている。
ただ、それだけ。
これらのスイッチ類に機能はないのだ。Bluetoothに接続してスマートフォンなどを操作できるわけでもない。ただ単に、指を動かすためだけのスイッチだ。
最先端テクノロジーの結晶が集まるKickstarterにおいて、このような製品の出展は異例。だが、このFidget Cubeの目的はまさに「集中力を高めるため」なのだ。
予定市場価格は25ドル。Kickstarterでは1万5,000ドル(約150万円)の資金調達を目指していた。
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■調達額は6億円!
ところが、蓋を開けてみれば世界中から出資が集まった。
出展期限残り7日の段階で、約590万ドル(約6億1,000万円)もの資金調達に成功したのだ。もう一度書くが、Fidget Cubeは「ただのスイッチ」。あまりに出資者が相次いでいるため、製造元も出荷を遅延せざるを得ないという。
要するに、世界の誰しもが「こんなものがほしい」と思っていたのだ。最新技術が詰め込まれているというわけではなくても、「いいもの」には巨額の資金が集まる。
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■「高度な技術」はいらない?
こうして見ると、発明品で大金を集めるのに特別高度な技術は必要ないのかもしれない。
人類史にその製品名が刻まれるような「全く新しいテクノロジー」は、誰しもが思いつくわけではない。また、あまりに進化しすぎた製品は、ユーザーの理解が及ばない可能性もある。
Fidget Cubeのような「ありそうでなかった」という性質のものが、大いに注目されやすいのかもしれない。
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(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一)