日弁連が「懲戒審査」要求 AV出演トラブルについて弁護士に聞いた

昨年からさまざまな問題が報じられる「AV出演トラブル」。その現状について弁護士に聞いたところ…

2017/01/21 10:00


ランジェリー
(magicvision/iStock/Thinkstock)

昨年から、注目を集めている「AV出演強要」問題。業界からは逮捕者が出る一方、元女優の川奈まり子氏が立ち上げた一般社団法人AVANのような、業界内部からの人権擁護団体も登場している。

先月、AVへの出演を拒否した女性に対して損害賠償請求をした事務所の代理人弁護士について、「懲戒審査が相当である」との決定を日弁連が行っていたことも報じられた。

そこで、しらべぇ編集部は、AV出演トラブルや芸能トラブルに詳しいレイ法律事務所に所属する松田有加弁護士に、今回の案件について話を聞いた。

(松田有加弁護士)


■出演トラブルの相談は増加

松田弁護士:芸能トラブルに関するご相談を受けている中で、とくに昨年夏頃からAVの出演トラブルに関するご相談が多くなってきた印象があります。もちろん、AV女優になることに憧れて応募をし、プロダクションと契約する方もいらっしゃいますし、コンプライアンスに配慮のあるプロダクション・メーカーもありますが、まだまだ問題のあるケースも多いですね。


たとえば、「出演料としては数万円しか貰っていないにもかかわらず、出演拒否をしたことで高額な違約金の請求を受けた」「プロダクションから職場に何度も電話が掛かってきた」等、脅迫と言えるようなケースも見受けられます。また、事前に受けていた説明と違う内容の撮影を求められた、というような相談もあります。


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■AV出演トラブル特有の問題とは?

松田弁護士:一般的な芸能契約の場合ですと、契約書が作成され、本人と事務所それぞれが契約書をそれぞれ保管することが多いのですが、AVの場合はそういったケースは珍しいです。


アルバイト感覚でAVに出ている多くの女性は、出演していることを隠したいと思って出演をするため、契約書を自宅に持ち帰らないことが多いのです。そのため、どういった内容の契約がなされているのか分からないこともあり、相談を受ける弁護士としてはその点についての対応力も必要となります。


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■契約したら断れない?

松田弁護士:「一旦契約したからには出続けなければならない」と思ってAVに出続けている方もいらっしゃるようなのですが、契約書があるからといって、AVへの出演を強要することは許されません。


AVへの出演は、プロダクションが指定する男性と性行為等をすることを内容とするものなので、「出演者の意に反して従事させることが許されない」とされているのです。AVの出演契約は、雇用契約に類似した契約であることが多いため、「やむを得ない事由」(民法628条)があれば、契約の解除をすることができます。


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■どうしたらいい?

松田弁護士:AV出演を周囲の人に隠しているため、身近に相談できる人がいない方も多いようです。自己判断で決定して取り返しが付かなくなってしまう前に、専門家である弁護士に相談することをお勧めします。


(文/しらべぇ編集部・タカハシマコト

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