根本から全く違う?ディズニー映画の原題と邦題を比べてみた 「Up」はどの映画?
ブルーレイディスクがリリースから3日で100万枚を超える販売を達成するなど、まだまだブームがおさまる様子を見せない大ヒット映画『アナと雪の女王』。その原題(英題)は、「Frozen」という非常にシンプルなものであることはご存知ですか?
ファンタジー要素の強いアニメ作品においては、その作品がどんな世界観を持っているのかを多くの人に事前に知らせるべく、説明的なタイトルが付けられることが多いですよね。しかし、これは非常に日本的な風潮といっていいかもしれません。ディズニーやピクサー制作の長編アニメ映画の原題を見てみると、「Frozen」のようにとてもシンプルな題名を持つ作品が多数あることに気付きます。
そこで今回は、そのような事例をいくつかピックアップして紹介していきましょう。
まずは、「アナ雪」と同じくウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオズが制作した昨今の“お姫様”系作品から。以下の2作品です。(カッコ内は、日本での公開年)
『プリンセスと魔法のキス』(2010年)→ 原題「The Princess and the Frog」
『塔の上のラプンツェル』(2011年)→ 原題「Tangled」
このように、『プリンセス~』のほうは“魔法のキス”ではなく“カエル”になっています。原題は主要キャラを並べただけで、邦題は明らかに「女の子ウケ」を狙ったものになっていますね。そして『塔の上のラプンツェル』はもっとシンプル。要は、主人公の髪の毛の状態を表す一言だけ、というタイトルが付けられています。どちらも、日本のでは見られなそうなタイトルですね。
次に、ピクサー・アニメーション・スタジオが制作した長編アニメ映画のなかから、特に原題と邦題とのギャップが印象的な作品を3つ紹介します。
『レミーのおいしいレストラン』(2007年)→ 原題「Ratatouille」
『カールじいさんの空飛ぶ家』(2009年)→ 原題「Up」
『メリダとおそろしの森』(2012年)→ 原題「Brave」
いかがですか、このシンプルさは。特に驚きなのは、『カールじいさんの空飛ぶ家』ですよね。たった一言、「アップ」なんです、原題は。何がアップするのかも全く説明せず。あの頑固な“カールじいさん”の存在も示唆されず、ただただアップ。気持ちいいくらいにシンプルですね。そして、日本人向けには主に、「人・形容詞・名詞」という3要素でタイトルが設定されがちだということも読み取れますね。
では、日本から海外に輸入する場合はどうなっているのでしょうか? 日本が世界に誇るアニメといえば、スタジオジブリ作品。印象的なものを紹介します。
『平成狸合戦ぽんぽこ』(1994年)→ 英題「Pom Poko」
『千と千尋の神隠し』(2001年)→ 英題「Spirited Away」
『崖の上のポニョ』(2008年)→ 英題「Ponyo」
このように、いくつかの作品では“シンプル化”が為されています。狸が合戦することや、“千”と“千尋”という名前の要素、そして崖の上という場所説明などが取り払われていますね。外国人の観客に伝わらないような部分を潔く削ったという印象です。
こうしてタイトルを見比べてみると、それぞれの国民性や映画(アニメ)への接し方、そしてコピーライティング手法の違いなども感じ取れませんか? アニメのみならず、邦題と原題を比較するのはとても面白い作業です。みなさんのお気に入りの洋画はどんな意味のタイトルが付けられているのか? 調べてみてはいかがでしょうか。
(文/しらべぇ編集部)