ビジネスにも通ずる!納豆を美味しく食べるための“納得”最強鬼畜メソッド5
若い頃、上司から教えてもらったことがある。それは、ビジネスに必要なのは、説得だけではなく、納得だということである。20代後半の頃、それなりに仕事を任されるようになり、天狗になっていた頃がある。「納得」ということを無視し、相手を「説得」しようとして、上司に大目玉を喰らったことがある。
ある会議でのことだ。自分より30歳以上も年上の人もいる会議でのことだった。ある日の会議で、関連部署の上司を徹底的に論破したことがある。温厚でお人よしであることで有名な私だが、「怖い人」スイッチが入ってしまったのだ。いや、その頃から「若き老害」だったとも言える(TBSラジオのいくつかの番組で、私は「若き老害」というニックネームで愛されている)。持っているデータやファクトを総動員し、ロジックを構築し、ディベート術も総動員し、徹底的に問い詰めた。常見無双、常見完勝だった。心の中では、いまは亡きプロレスラー橋本真也の入場テーマ「爆勝宣言」が流れていた。
しかし、その後、直属の上司にこう言われた。「常見君、ここで勝ってもダメなのだって。試合に勝っても、勝負に負けたことになってしまう。納得してもらうことを心がけよう」と。それから、私の仕事は変わった。「説得」ではなく、「納得」。ここにこだわり、互いのハッピーを模索する仕事の進め方に変わったのだ。
では「納得」とは何か。これを理解するためにはまず、発音が近い「納豆」を「食う」ことから始めてはどうだろうか。納得と「納豆食う」、似たようなものではないか。あの美味さを噛みしめれば、「納得」という言葉の意味も理解できそうだ。
その納豆だが、美味しく食べるにはコツがある。そう、食べ方によって美味しさが大きく変わるのだ。そこでいかに相違工夫するかどうか。美味しさに納得できるか。これはビジネスでの納得のプロセスと似ているのではないだろうか。
……論理が苦しいことはよく分かっている。しかし、「常見さん、ネタに困った中、精一杯やっているんだな」「論理飛躍芸をウリにしようとしているんだろうな」と相手の気持ちを理解する。これこそが、デキるビジネスパーソンへの道だ。ビジネス書には書いていない、大事な処世術だ。
では、納豆を美味しく食べるための納得最強鬼畜メソッド5を紹介しよう!
1:高い納豆を買え!
相場が安いものを高く買う。これこそが、常見流グルメメソッドの肝である。納豆は普通のスーパーでも2個で200円以上のものはなかなか売っていない。デパ地下や、成城石井、明治屋、紀伊國屋などにおいてもせいぜい2個で200~400円だ。夜にチューハイを飲むより安い。賞味期限が近いものなどはもっと安い。安いものを高く買うのだ。
2:まず、よくかき混ぜろ!
よく、いきなりタレをかけて、それをあたかもローション、いや潤滑油的にしてかき混ぜる奴がいる。違う。納豆は最初によくかき混ぜてから味付けモードに入った方が美味いのだ。ウソだと思ったら、試してみろ、全然味が違うぞ。これは初期の『美味しんぼ』で学んだテクだ。当時は鼻血も出ず、曇りなくグルメ漫画だった。まず、よくかき混ぜる。これを実践するのだ。
3:マイたれを用意しろ!
付属している納豆のタレも十分美味いが、ここは“マイたれ”を用意するのが得策だ。おかめ納豆などでは、納豆専用のタレを別売している。また、デパ地下や高級スーパーで、良い醤油、特にダシ醤油などをゲットするのも手だ。“マイたれ”でその他大勢から秒速で抜け出すのだ!
4:薬味にこだわれ!
筋肉少女帯の「日本の米」という曲では、納豆にネギを刻むといかに美味いかということが論じられている。まあ、普通といえば普通だが、これで全然違う味になる。他、海苔、梅干しなどもおすすめだ。薬味にこだわるのだ。
5:既成概念をブレークしろ!
納豆は自由な食べ物だ。味付けの常識を疑え。おすすめはタレ&薬味代わりに、なめ茸を使うやり方だ。食器を洗うのが大変になるけどな。キムチなんかをつかうと、地獄度がアップする。刺し身を刻んだものとかき混ぜるのも面白い。ちなみに、北海道民は砂糖を少し入れて食べる人がいる。私はやらないが。味に深みが増す。納豆は自由な食べ物だ。あなた流のやり方で、アレンジするのだ。
どうだろう。納豆は朝の活力だ。そして納得の味は、ビジネスでの納得力にも貢献するだろう。いまこそ、納豆食うで納得革命を起こすのだ。
(文/常見陽平)