「夏休み子ども科学電話相談」より選出 大人の発想では浮かばぬ子供たちの素敵な質問集
バリバリの文系のやきそばかおるです。NHKラジオでは毎年『夏休み子ども科学電話相談』を放送しています。子供たちの素朴な疑問に各分野の先生がその場で答えるのですが、なかには、いきなり聞かれたら凡人の我々には答えられないような繊細な質問も紹介されます。そんな質問を集めてみました。
まずは命に関する質問3連発。
●なぜ人は子孫を残さなくてはいけないのに、戦争などの殺し合いをするのですか?
小学3年生の男の子からの質問。いきなり答えに詰まる質問内容。先生も丁寧に「ちゃんとした答えができるかどうか分からないけど、一緒に考えましょう」と断ってから説明に入った。
●植物にも命はあるんですか?
小学3年生の男の子からの質問。動物は動きがあるし、生死がハッキリしているから命があることを意識しやすいが、植物となると小学生低学年の段階では命の意識があまりなかったかも…と思い出させる質問。先生からは「植物は動かないから命がないって思わないでね。野菜も食べる時は『命をありがとう』と思いながら食べてね」と一言。
●命は目に見えるのですか? どんな形をしているのですか?
小学2年生の男の子からの質問。これも非常に難しい。先生は、それぞれの生き物の形=命そのものということを説明。また、生き物の命について、アリなどの生き物を大切にする一方、蚊に刺されそうになると蚊を殺してしまう。命は大切だけど病気を媒介するなどのことから、殺さないといけない場合もあるということに触れつつ「基本的にどの生き物も大切にしましょうね。殺してはいけないという辛さの中で色んなことを感じながら生き物をみていきましょう」と締めくくった。
そのほか、子供に聞かれると大人が答えに詰まる質問。
●どうして夜に歩くと、月や星が追いかけてくるんですか?
小学2年生の女の子からの質問。頭の中ではなんとなく分かっていながらも、小学生に聞かれると、どう答えたらいいのか分からない。先生は、電車に乗っている時に、近くに見えるものはすぐに通り過ぎていくが、遠くにあるものは見え続けるという分かりやすい例えを用いて説明。それにしても「月や星が“おいかけてくる”」だなんて、なんともロマンティックな表現である。
●人はなぜ「笑う」「悲しむ」「泣く」などの感情があるの?
小学5年生の女の子からの質問。もはや、大学の試験に出てきてもおかしくなさそうな問題である。先生は「感情がなかったら、自分の思いを伝えられない」という話を展開。「泣いている人が映っている写真から、画像を修正して涙だけを消してしまうと悲しいことが伝わりにくくなります。感情が伝わることは、集団で生きていくために大切なことでもあるんです」という旨を説明した。確かに感情があってよかった。全員が無表情だったら、うまくやっていく自信がない。
●なぜ人間は思い出などを覚えていられるのですか?
小学2年生の男の子からの質問。大人からすれば、なぜ過去のことを忘れてしまうのかを聞きたいところ。先生は記憶をつかさどる海馬のことを説明。つい最近、カリフォルニア大学の研究で、焼き魚や煮魚を習慣的に食べている人は海馬が大きいことが分かったという話も紹介していた。早速、今夜は魚を食べよう。
●セミはなぜ夜には鳴かないのですか?
小学1年生の男の子からの質問。当然「夜に鳴かれると人間にうるさがられるから」というのは答えにはならない。先生によると、簡単にいえば夜は活動時間帯ではないからとのこと。ただし、明るいと鳴くことがあるため、夜でも街灯が明るいと鳴くケースもあるとのこと。
(ほかにこんな質問も)
●働きアリは、どうして生まれてからすぐに働きはじめるんですか?
小学2年生からの質問。「およげ!たいやきくん」のたい焼きの運命を彷彿とさせる質問であった。
●(親からの投稿)小学5年生の息子の夏休みの宿題が全く進んでいません。私が電話相談したいくらいです。
先生によると、ほんの5分でいいからと思って始めると、そのまま5分以上はやるようになるとのこと。
番組では染色体や雌雄同体などにまつわる話も。難しい質問を果敢にしてくる小・中学生の声を聞いていると「あ~、子供たちに比べて、私はなんてスカスカな脳ミソなんだろう」と自己嫌悪に陥るのであった。頑張れワタシ、負けるなワタシ。
(文/やきそばかおる)