【厳選映画】世界中の母に観てほしい…「母が輝く」世界の映画4選
「母は強し」と言われるけれど、ママだって弱音を吐きたいときもある。「肝っ玉母ちゃん」なんて言葉もあるけど、ママ友関係にびくびくしている母親たちもいる。
生命を産み出す「母」という存在は偉大すぎるがゆえに、物語や慣用句で描かれる母親像はステレオタイプになりやすいのかもしれない。
そんな“虚像”をこえて、多様に生きる母の姿を映画の中で探す上映会「映画の中で生きる母たち~パリ・NY・マドリッド・東京~」が行なわれる。
企画したのは、学生時代に日本映画研究を専攻した弓桁(ゆみけた)あやさん。自らも3歳の娘を育てるママだ。
弓桁さんが選んだ、世代も国も生き方もまったく異なる4人の「母」。女性が生きていく無限の可能性を感じさせる4本の映画を、彼女の言葉を借りてご紹介しよう。
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①とにかく笑えるNYの母:『ニューヨーク、恋人たちの2日間』
「NYで、お互いの連れ子と共に同棲しているフランス人女性とアメリカ人男性のどたばたコメディです。シモネタも多く、“母もの映画”と言うには違和感を覚える人も多いかもしれませんが、とにかく笑えて、元気が出る映画です。
監督・脚本も手がけた主演女優のジュリー・デルビーが、家族に振り回されるうちに自分を見失う“痛い女性”を演じています。
未熟さ・下品さに等身大の母親としてのリアリティがあります。大きな賞も獲っていない、おそらくあまりヒットしなかった映画ですが、隠れた傑作。実は、この企画でいちばん見てほしい一本です」
(C)Polaris Film Production & Finance, Senator Film, Saga Film, Tempete sous un Crane Production, Alvy Productions, In Production, TDY Filmproduktion – 2012All rights reserved.
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②強く美しいマドリッドの母:『ボルベール<帰郷>』
「主演のペネロペ・クルスが、とにかくセクシーで美しい。しかし、美しいだけでなく、決断力があってたくましいお母さんなんです。しんどい境遇を乗り切ろうとする母としてのたくましさが、またさらに彼女の美しさを引き立てる。
女性は子供を産むと、“◯◯ちゃんのママ”のように、人生の脇役になったように思うことがあります。だから、母親でありながら美しく輝く/それでいて母としても強い、という物語を見ると励まされる気がする。
子供を産む前に初めて見た映画ですが、母になってより理解しやすくなった作品です」
(C)EL DESEO, D.A, S. L. U.
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③自由を求めるパリの母:『キングス&クイーン』
「3回めの結婚を控えた女性と、その2番めの夫を描くフランス映画です。日本だと驚くような展開もありますが、フランスならではの家族観や結婚観も面白く、それも見どころのひとつです。
子供を産んだ直後は、幸せを感じる一方で、『縛られている』という感覚も強く覚えてしまうもの。だから、『子供を産んだ女性が、それでも自由を求めていく』というストーリーに共感する女性は多いはずです。
『家族や夫婦の概念は、もっと自由でもいいんじゃない?』と思わされる映画ですね」
(C)Why Not Productions – France 2 Cinema – Rhone-Alpes Cinema/Visa d’exploitation n゜102.243/Depot legal 2004
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④勇気づけてくれる東京の母:『魂萌え!』
「“日本代表”は、風吹ジュンさん演じる未亡人。子供も成人しているので、私よりは私の母の年に近いですが、こんなふうに歳を重ねられたらいいな、と思える女性です。
子供と自分の自立や、夫の死後における中高年の恋や性愛など、現代日本らしいテーマが、ひとりの女性の変化によって描かれる。見ていると、自分が変わっていくことに前向きになりたい、と思えてきます。
風吹さんだけでなく、亡夫の愛人を演じる三田佳子さんや、自立しきれない娘役の常盤貴子さんなども共感を誘う女性映画の傑作です」
(C)2007「魂萌え!」パートナーズ
女性の数だけ、生き方はあるはず。あなたが共感するのは、どの街に生きるどの映画の母だろうか?
■「映画の中で生きる母たち」
会場:川崎市アートセンター(小田急線新百合ヶ丘「北口」徒歩3分)
〒215‐0004 川崎市麻生区万福寺6-7-1/TEL:044-955-0107
会期:9/20(土)~9/26(金)1日2回上映(9/22は休映)
http://hahaeiga.com
(取材・文/しらべぇ主筆・タカハシマコト 取材協力/「映画の中で生きる母たち」)