その認知度は7.1%と少数ながら、音楽通に長年愛されまくる「サルソウル」とは?
主にアラサー以上の読者のみなさん、電気グルーヴが1997年に発売し大ヒットした名曲『Shangri‐La』を覚えていますか?「夢でKISS KISS KISS」というサビのフレーズが忘れられないこの曲ですが、より印象的なのは、曲全体に流れる美しいストリングスのメロディーです。
実はあのメロディーは、ソウルミュージック好きなら誰もが知る『Spring Rain』という曲をサンプリングしたもので、『Shangri‐La』の作曲者クレジットには、『Spring Rain』を作った「Silvetti」というアーティストの名前も記されています。
そして、この美しいディスコナンバー『Spring Rain』をリリースしたレーベルが、それこそソウルミュージック好きなら知らないわけにはいかない、1974年にニューヨークで設立されたレーベル「サルソウル(Salsoul)」なのです。
画像をもっと見る■渋谷の音楽ショップに行くと必ず…
今年2014年はサルソウルの設立から40周年となるわけですが、渋谷の音楽商品を扱う大型ショップに行くと、必ずと言っていいほど店内の一角に“サルソウルコーナー”が設置されています。
・タワーレコード渋谷
・渋谷TSUTAYA
・HMV record shop 渋谷(2014年8月オープン)
そして、この各ショップのフィーチャーぶりは、“40周年”だけに理由があるわけではありません。
関連記事:なぜなのか?「HOUSEミュージック」がどんな音楽か全く分からぬ日本人73.9%
■あらゆる有名DJが憧れるレーベル
「サルソウル」は、1974年、日本の歌謡曲・J-POPにも大きな影響を与えている“フィリー・ソウル”(フィラデルフィア・ソウル)隆盛の流れから生まれたレーベルです。その特徴は、フィラデルフィアで鍛えられた伝説的なスタジオミュージシャンたちで構成された“サルソウル・オーケストラ”が奏でるゴージャスなサウンド。
美しいストリングスとラテン・リズムが融合したそのサウンド(サルソウルの語源は、サルサ+ソウル)と、一部ソウル通のあいだでは“史上最高のディーヴァ”とも評される故ロレッタ・ハロウェイをはじめとした実力派ボーカリストが歌うナンバーの数々は、幾度の再評価を経て、長らく愛されてきました。“ハウスミュージック”の源流ともされています。
特に愛してきたのは、ディスコ・クラブで夜な夜なお客さんを躍らすDJたちでしょう。サルソウルから出たディスコナンバーを繋げた“ミックスCD”は多数発売されていますが、これまでそのミックスを担当してきたのは超豪華DJたちで、グランドマスター・フラッシュ(アメリカ)やDanny Krivit(アメリカ)、Dimitri From Paris(フランス)といった世界的に有名なDJをはじめ、日本でも、
・TOWA TEI
・MURO
・DJ CELORY
・DJ JIN(RHYMESTER)
・DJ KOMORI
・DJ NORI
といったあらゆる人気DJたちがサルソウルのミックスCDを発売してきているのです。
関連記事:「スティーブ・ジョブズ本」の6年の歴史を徹底調査! 遂には料理人、師匠まで登場
■日本人の認知度は、7.1%
今回、しらべぇ編集部では、これだけ愛される「サルソウル」が一体どれだけ認知されているのかを調べてみました。(方法:インターネットリサーチ「Qzoo」、調査期間: 2014年8月15日(金)~8月19日(火)、対象:全国20代~60代の男女ユーザー計1500名)
その結果、男女全体で「サルソウルという音楽レーベルを知っている」と答えたのは、7.1%とごく少数でした。性・年代別でみると、30代男性で15.3%と飛び抜けて高い数字が出ており、この層の人たちからは熱烈な“サルソウル愛”を語る声も多く寄せられました。設立40周年であることを考えると、おそらく90年代の大きな再評価ムーブメントの中でサルソウルを知った30代男性が多くいたのだと思われます。
知ってる人は知ってるけど、知らない人は本当に全く知らない。そんな存在である「サルソウル」の音楽。設立40周年で各ショップがフィーチャーしてるのを機に、これまで知ることのなかった大多数のみなさんも、多く発売されているミックスCDを1枚手に取ってみてはいかがでしょうか?
(文/しらべぇ編集部)