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【松澤千晶のアニメめくるめく世界】(ボーイズ)ラブ・ストーリーは突然に

コラム

enpitsu

こんにちは、フリーアナウンサーの松澤千晶です。私はアニメを見ることが大好きなのですが、今やすっかりアニメや漫画の世界に欠かせなくなってしまったのが、幸か不幸か「BL=ボーイズラブ」というものです。

最近、改めて「BL」とは何かと聞かれ、少し困ってしまいました。何かと聞かれても、考えるな、感じろとしか言いようがない世界ですから。

以前、BLとはボーイズラブである前に「ボーイズライフ」だともお話しましたが、単純にその関係性だけを問われると一言では言い表せず、とても難しいものです。

男性同士が愛し合っている? 友達以上恋人未満?

どちらも違います。そんな単純な関係ではありません。世の女性たちが惹かれているのは、そのように割り切れるものではないのです! と言っても、一般的にこのジャンルに触れない方々にとっては、キャラクターやシチュエーションをお話しても理解されないのがBLの世界。特にこういったものにはアレルギーを感じる方もいらっしゃるでしょう。

そこで今回は、古くから言い表されている例えを使って、その関係性と魅力をわかりやすくご紹介しましょう。

【ケース1】鉛筆と消しゴム

まずは定番のこの組み合わせですね。これに関しては、どちらが攻める側か受ける側かで長年、論争が続くほどです。

まだピンと来ていない方もいらっしゃるようですね?

つまり、鉛筆、消しゴムを仮にそれぞれひとりの人格として考えて、鉛筆×消しゴムか、消しゴム×鉛筆か、なのです。早慶戦か、慶早戦かくらい違うのです(両大学の方々、非常に申し訳ありません。)

鉛筆の方が尖っているから攻めだろうとかそんな単純な解釈ではありませんし、最終的にどちらが正解かわかりませんが、この組み合わせはお互いありきで成り立つ関係が実に素晴らしいのです。

鉛筆は消しゴムがいるから今日も安心して前へ進める、消しゴムは鉛筆がいるから生きてゆける。そんなふたりはベストパートナーでもあり、最大のライバルでもあり…何だか羨ましくなってしまいますね。

でも切ないのが、最後は二人とも消えてしまうということ。頑張れば頑張るほど身を削って、どんどん小さくなってゆく鉛筆…そしてその鉛筆を補うかのように己の身を粉にする消しゴム…。

「先にいくなよ…ケシ…」なんて声が聞こえてきそうです、ああ…切ない。
こんなふたりの戦いを目の前で見せられたら、退屈な授業や厳しい試験も、乗り越えるしかありませんね。

紙の存在や鉛筆削りが出て来るとドロドロしそうなので、このあたりにしておきたいと思います。

【ケース2】天井と床

いつもお互いだけを見つめ合い、永遠に結ばれることのないふたり…これはもう、切なさ以外の何物でもありません。

ご存知の通り、天井と床は常に向かい合って佇んでいます。いつも踏みつけられ、汚されるばかりの床…そして、それをただ見ていることしかできない天井。

時に天井のない床もありますが、そんな床は、ふと空を見上げて、何かを、誰かを待っているようにも思えます。そして、そのような床を優しく覆うことができるのは、やはり天井の存在なのです。

階層のある建物になると1階の天井と2階の床が背中合わせになっているものの、階が違うと決して向き合うことのできないふたり…こんなに近くにいるのに。

向かい合う天井と床は手を伸ばしても交わることはなく、どこまでも平行線な関係。そこへ、ふたりを支えるのか? 引き裂くのか? 「柱」の登場や、実は密かにずっとふたりの関係を見届けてきた「壁」の存在…!

生まれたときは建築物の材料として一緒にいたはずなのに、いつの間にか近くて遠い存在に。そして再び触れ合えるのは最後の解体の時…!

ここまで考えると、普段使っているお部屋も何だかドラマチックに感じますよね。良い物語が紡げるよう、お部屋はいつも綺麗にしておきましょう。掃除機やほうきのような存在が出てくると、これもまた一波乱起きそうですから、このあたりにしておきたいと思います。

【ケース3】パンとバター

個人的に好きなのがこちらの組み合わせ。何故なら私が毎朝食べるから。そして、明るいストーリーになりそうだからです。

パンは何をつけても美味しくいただけますから、バターはもちろん、マーガリンという幼馴染のような存在から、ガールフレンドのジャムやチョコレートクリーム、他のクラスのトマトソースやチーズまで何でも来いの、来るものは拒まずなキャラクター。

一方のバターだって負けていません。どんなお料理にも使えますから毎日引っ張りだこで、実は今日も一仕事終えてから何気無い顔でパンのところへやってきたりするのです。

これはどちらかというと、ノーマルな男女に近いかな? とも思いますが、重要なのはお互いのパワーバランス。

どちらも同じ目線で、対等で、均衡な関係だからこそ成り立つのがBLなのです。
ただ、バターはデリケートですからパンとずっと一緒にはいられません。ひとり溶けてしまわぬよう、逢瀬を重ねたらすぐさま冷蔵庫へ…何だかハートフルな明るい関係かと思いきや、食卓でのひとときしか一緒にいられないなんて、やはり少し切なさが残ります。

その他、コーヒーと牛乳の組み合わせ、そこへ紅茶もやってくる展開等もありそうですが、何気ないところにもロマンスは隠れているものですね。そういった物語から生み出されるのが、私たちが舌で感じる「味」だと思うと、何だか毎朝の食卓が実に楽しくなりそうです。

■無機物から生まれる愛

これらは無機物擬人化BLと呼ばれていて、身近にあるものをカップリングとして考えるものです。

何故、男性前提なのか? もはやBLでなくても良いのでは? と初歩的な疑問もあるかもしれませんが、そこはご愛嬌。例え話ですから、楽しくいきましょう。

しかしながら、ここから感じ取っていただきたいのは、腐女子と呼ばれる方々が好んでいるのはただ単に男性同士の関係だからではなく、思うように結ばれない、最後は離れ離れといった“ままならない関係”だからだということ。

ホモが嫌いな女子はいません!なんて言葉もありましたけれど、ときめきを感じるのはたぶん、「性別」ではなく「関係性」。いつの時代も、切なさ、儚さに人は惹かれるのだと実感した、秋の昼下がりでした。

(文/フリーアナウンサー・松澤千晶

 

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