【伊武センセの法律相談室】プチぼったくり居酒屋にあたった場合の対処法
相談
この週末に、同僚と楽しく飲んだ後に、初めてのお店に入りました。ごく普通のなんてことのない店でしたが、帰り際に会計を頼むと、なんとビール1杯が1,800円だと言われました! 押し問答をしましたが、店は強気でせせら笑うだけ。警察を呼びましたが民事案件だから話し合いで決めてくれと言われて・・・。結局、バカ高い料金を支払ったのですが、これって完全にぼったくりですよね!? 伊武先生がいれば、法律で何とかなったんでしょうか!?
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司法書士・伊武センセの解説
最近急増中のぼったくりの店。被害に合わないためには、そういう店に入らないことが一番。しかし、ぼったくりの店の客引きは巧妙で、つい誘いにのっちゃって店に入ってしまうことも。そうなった場合、法的に支払わなくてもいいと言いたいところですが…。
困ったことに、ぼったくりの店の支払を免れるのは法的に難しいのです。もともとビールを1杯いくらで売ろうが、それは店の勝手。高くても客がそれでいいというなら、売買契約は成立してしまうのです。
ここで問題になるのが、お店に入って値段も聞かずにカウンター席に座ったとたん「とりあえず、ビールね」とやっちゃった場合。普通、ビール1杯いくらかなんてみみっちくて聞かないもの。相場だって想像できちゃうし。しかし、これがぼったくり店の怖~いワナなんですよね。ビールが出て来て改めてお店の異様な空気に「もしかして・・・」なんて気づいても手遅れ。お会計で請求された料金がビール1杯3千円なんてことも。そこまで露骨でなくても、最近流行のプチぼったくりもそう。明らかに場末の店で、ビール1杯1,800円の請求。う~~ん・・・・。
メニューを見ずにビールなんか頼んじゃって、後で相場よりバカ高い値段だと知ったらどうなるか。客としては、「オレはメニュー表を見てない!」、「こんなバカ高い値段だったら注文しないよっ」と売買契約の不成立を声高に叫びたいところでしょう。しかし、ときとして法律はあなたの前に冷たく現れます。こんな場合、法律は商慣習に従いなさいと定めているのです。つまり、ビール1杯ごとに値段を確認してなくても「メニュー表があるでしょ」と言われてしまうのです。メニュー表があれば、客はそこに書かれている値段に合意して注文したとされてしまうんです。そして、それを逆手にとるのがぼったくりの店というわけで・・・。お店の見えずらい壁の端っこにメニュー表が貼ってあったりするんですよ、ビール1杯がン千円なんて。
こうなると、正直なところ法律では実質お手上げ。お客は泣き寝入りするしかありません。法律とて万能ではないのです。もっとも、最近では大阪府や広島県など、一部の自治体で『ぼったくり条例』なる条例を施行している地方自治体も出て来ました。この条例では、店がメニュー表を客に提示することや、料金が明確であることを義務付けています(*1)。こうしたぼったくり条例がある地方都市だとまだ救いがありますが、そうでなければ結局お客が自衛するしかないのが実情です。 初めてのお店に入ったときは、まずは「メニューをみせてください」とひと言、申し出ましょう。面倒臭いし、何だか恥ずかしいというのは分かります。でもね、ここが天国と地獄の分かれ道ですよ。自分の心が、つい「びったれ」にならないよう、意思を強く持って実践してください。
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杉山さんの突っ込み(*1)
はい! ぼったくり条例は、全国でも数県でしか定められていませ~ん。しかも、キャバクラのような『接待』のある店が対象なんです。居酒屋みたいなお店は対象外ですから、この辺りにも注意をしてくださいね。
元記事 : 【被害続出!】繁華街に巣食う「プチぼったくり居酒屋」を見分ける5つの方法
(文・漫画/田島 隆・高橋昌大 『びったれ!!!』しらべぇ出張版・スーパー司法書士・伊武センセのスペシャル講義)
奮闘!びったれ|秋田書店 : http://arc.akitashoten.co.jp/