【松澤千晶のアニメめくるめく世界】独占欲は捨てる、それがヲタクの愛
こんにちは、フリーアナウンサーの松澤千晶です。私はアニメを見ることが大好きなのですが、このようなアニメや漫画、そしてアイドルといったジャンルにおいて、常に話題になるのが「ヲタク」という存在です。
この「ヲタク」という生き物は、少し前までは日陰の存在として認識されていたような気がしますが、今ではすっかり定着し、「クールジャパン」という不思議な言葉と共に、ある時は異様な持ち上げ方をされ…ある時は行き過ぎた行動を非難され…未だ実態解明がなされていない謎の生命体です。
隠れていた存在が姿を現したのか、はたまた時代の波に乗って増殖したのか、最近では自ら「ヲタク」を名乗る人も少なくはありません。
そもそも「ヲタク」とは何なのでしょうか。
■自称か?他称か?
私自身、あなたは「ヲタク」ですか?と問われ、少し戸惑ってしまったことがありました。こういったものは自称するべきではないというおかしな風潮がありますが、その罠にまんまと引っかかってしまったのです。
そして何より自分の場合は、ただ単純にアニメが好きなだけですから、ヲタクなのかどうなのか、そもそもヲタクとは何だったのか、わからなくなってしまったのです。
これは、”ゆゆ式”事態です。
よく、あれは「にわか」(たいしたことない)だろう、とか「ファッション」(ヲタクぶっているだけ)だろう、といった会話を聞きますが、何がどういけないのか簡単に考えてみましょう。
にわか【俄】という言葉を辞書で調べると、「急に変化が表れるさま」と出てきますから、その言葉通り、付け焼き刃な感じが良くないようです。好きならば決してそうはならないはずなので、愛があれば大丈夫そうですね。
仮に新参者の場合は「にわか」でなくただの初心者、「ビギナー」なだけですから、これから大いに成長の余地がありそうです。
あいつは「リア充」だからヲタクじゃないなんてお話も聞きますが、何をおっしゃいましょう。現実と向き合って、戦って、リアルに打ち勝って自らの主張を貫いてこそ、真の「ヲタク」ではないでしょうか。(私は未だ奮闘中ですが…)
しかしながら、幸か不幸か、趣味があると日常がおろそかになりがちですから、この考えもあながち間違ってはいないのかもしれませんね。
最もわかりやすいのが、CDやDVD、グッズなどにお金を使うという目に見えるヲタク活動ですが、一朝一夕でやろうと思えば出来てしまうことなので何とも言えませんし、ヲタクの度合いというものは数字で計れるものではなさそうです。
なかには、自らを「ATM(現金自動預け払い機)」と名乗り、自分から好きなだけお金を引き出せますよ、と主張する方もいるので、さすがにそのような方には頭が上がりませんね。
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■確かな言葉に存在する、不確かな感覚。
「ヲタク」といった、わかりやすい言葉は実に便利です。そして私はあまり好きではありませんが、「サブカルチャー」という言葉も更に便利です。少し自虐を含んで一歩引いているように思える言葉ですから、自ら口にしやすいニュアンスもあると思います。
非常にわかりやすいけれど定義が曖昧なのは、日々進化を遂げているからかもしれません。
「ヲタク」という言葉自体は、はるか昔に、同じ趣向を持つ見知らぬ者同士での「お宅」はどうですか?といった会話が由来で、「オ」が「ヲ」になるのは、恥ずかしさからか、独特の「どもり」のようなニュアンスが含まれたからだそうです。
冒頭でもお話しましたように、少し前まで「ヲタク」は地上に出てくるべきではないという考えが強かったようですが、今では自ら主張する方々も増え、時代は変わったな…と思う事も多々あります。
そういった存在に反発を抱く方々も多いと思いますが、思うに、人類は全て、何らかの「ヲタク」だと思うのです。
そこから程度の違いは多々あれど、開放的であるか(外へ広げてゆくのか)、閉鎖的であるかで(内へ内へと追求してゆくのか)で、人種が変わってゆくのではないかな…と。何となく後者の方がヲタクっぽいですね。だって、「お宅」ですから。
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■たぶん愛、きっと愛。
しかしながら、本当にその対象(私の場合ならアニメやキャラクター、人によってはアイドル等、好きなもの)について、その未来を考えるなら、愛しているならば、独占欲は捨て、外へ広げてゆく方が私は良いような気がしました。
私は単純にアニメが好きなので、どのように思われても、アニメの魅力が世に伝われば良いと思っています。
そうすれば、きっとキャラクターたちも喜ぶと思うから。
「ヲタク」という生き物について真剣に考えたところ、最後は「愛」という、何とも割り切れない結論になってしまいましたが、結局は、愛を感じるか、感じないかというところで…引き続き、よろしくお願い致します。
※中学生のときに読んでいたらヲタクっぽいと言われてしまった「MAZE☆爆熱時空」…今でも大好きだったりします。
(文/フリーアナウンサー・松澤千晶)