【ねこ拝見】芥川龍之介のひ孫・奈於さんの猫「クローバー」 龍之介は猫好きだった?
ペットを飼うと婚期が遅れるといいますが、筆者はペットを飼ってないのに婚期が遅れています。婚期が遅れるのは嫌だけど、せめて猫に会いに行きたいと思い、会いに行くことにしました。今回は、芥川龍之介のひ孫、芥川奈於(なお)さんのネコのクローバーです。
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●芥川奈於 プロフィール
イラストレーター。芥川龍之介の、ひ孫にあたる。女子美術大学芸術学部卒業後、猫を始めとする動物の絵を中心に活動中。「ねこ新聞」(有限会社 猫新聞社)にて2月より連載(イラスト)開始。5月には代官山「Gallery 子(ね)の星」にて個展「猫展(仮)」を開催。
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●「雑巾」と呼ばれていた猫
奈於さんが飼っている猫はスコティッシュフォールドという種類。イギリスにその起源を有する猫の一品種である。
「猫の鳴き声は顔のかたちで変わりますが、丸顔のクローバーは『プニィ~~、プニィ~~』と鼻にかかったような声で鳴きます。これがまたたまらないんです」
「クローバー」の名前の由来は、奈於さんが好きな漫画『ハチミツとクローバー』から。
出会い
「ブリーダーさんによると、錆び猫(黒と赤のモザイク模様の被毛を持つ猫の総称)だから人気がなく、おまけに『雑巾』って呼ばれてたんです。私は『こんなに可愛いのに、なんて可哀想な呼ばれ方をしてるんだろう』と思いました。初めて対面した時、運命的なものを感じて、『私が飼うしかない、この猫は私の猫だ』と思って飼うことにしました」
クローバーの写真を撮るのは大変だ。カメラに興味があるらしく、レンズを向けるとこちらに寄ってきてしまう。
「寝ぼけてる時だったら撮れるんですけどねぇ~」
クローバーが好きなものは「モンプチ」。といっても頻繁に与えているわけではなく、クリスマスのように特別な日のみ与えている。そのかわり、その日は大盤振る舞いだ。
「モンプチはファイヤーキングの器に入れます。人間が使っている器よりも良いものを使っています。下に敷いているヴィンテージ生地のパッチワークのマットは、クローバーのために私が作りました」
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●ところで、龍之介は猫好きだったのか?
龍之介の作品「お富の貞操」には三毛猫が登場したり、「動物園」には「波斯猫(ペルシャねこ)」が、俳句にも猫を詠んだものがあるが、描写は定型的で猫に関心があったわけではないという。
「母が大の猫好きなので、私は母の血を受け継いだんじゃないかと思います。現在、ウチには両親が飼っているメルモがいます。その前は白い猫のミミとフワがいて、ほぼ同時にシミ・ピコ・パーという猫もいました」
クローバーだけはブリーダーさんから譲ってもらったが、芥川家で飼われた他の猫は捨てられたり、迷い込んできたり、苛められていた猫が多いという。
メルモは園芸店の敷地で追い払われて逃げ回っていたところを、奈於さんと母親がポケットに入れて連れてきたそうだ。名前は手塚治虫原作のアニメ『ふしぎなメルモ』より名付けられた。由来はメルモが大きくなった時の顔に似ているから。
「メルモはクローバーが苦手なようです。クローバーの毛の色が床の色と似てるから、クローバーが動くと床が飛び出て動いているように見えるみたいです」
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●猫と心が通じ合うきっかけ
猫が大好きだといっても、猫の方がなついてくれるとは限らない。皆さんの中にも猫を飼っているけど、なついてくれないと嘆いている方もいるのではないだろうか。
「辛抱強く待っていたら、ある日突然心を開くようになりますよ。いつもベッドの下に隠れていた猫も、いつの日かベッドの上に乗ってくるようになります。やはり、ステップがありますからね。昔、庭で飼っていた小さな猫がいて、嵐の日に母が心配して様子を見に行ったんです。その瞬間、雷が鳴って猫は恐怖のあまり母の前で立ちすくんでしまったんです。母が朝まで抱っこしていたら、翌日からなつくようになりました」
なついてくると、猫の顔つきも柔らかくなるという。
「甘やかしていると赤ちゃん顔になりますよね」
これまで、数匹の猫が芥川家の門をくぐった。意心地が良いのか、猫が猫を呼び寄せるのかもしれない。
(取材・文/やきそばかおる 写真協力/芥川奈於)