好きなことを仕事にできてますか?60代の約5割が「できている」!聞けば納得の理由って?

2015/01/26 09:00


しらべぇ0126好き

小中学生のころ、卒業文集に将来の夢を書き込んだ経験のある方は少なくないのではないでしょうか。女性ならお花屋さんやケーキ屋さん、男性ならば野球選手や消防士を書いた人が多いかもしれません。

画像をもっと見る

将来の夢と人気企業ランキングの共通点とは

こうした「小中学生の将来の夢」「新卒採用を受ける大学生の入りたい企業」は同じ構造を持っていることがしばしば指摘されます。いずれも、今自分が知っている選択肢からでしか将来を夢想できないということです。

たとえば、大学生の「入りたい企業ランキング」は大企業の知名度となんとなくの印象によって決定されるに過ぎないため、大手広告代理店や総合商社などが毎年上位を占めることになります。小学生の場合、将来の夢の欄に「リテール営業」や「財務省事務次官」が並ばないのは、それらの仕事が彼らの中でそもそも選択肢として浮かんでいないからと言われます。

「好きなことを仕事にしたい」と考える人はいつの頃でも存在すると言われます。「絵を描くことが好きだからイラストレーターになりたい」「本を読むことが好きだから作家や編集者になりたい」という将来の夢を誰かの口から耳にしたことのある方も少なくないでしょう。

関連記事:【夢を持てと言うけれど】野球、バスケ、吹奏楽…子どもがプロを目指し続ける社会は幸福か?

約3人に1人が「好きなことを仕事にできた」

ところが、こうした仕事観はしばしば大人たちからの批判に晒されます。仕事は自分が提供する商品やサービスを必要とするお客さんがいるからこそ成り立つものであり、自分の好きなことがそのまま仕事(お金)につながるほど世間は甘くない、と。

このような「大人の説教」はどれくらい根拠を持つものなのでしょうか。男女1500人を対象にした以下のアンケート結果をご覧ください。

【質問】自分は好きなことを仕事にすることができたと思っている

sirabee_sukinakoto_201501260900graph-1

はい:33.0%
いいえ:67.0%

およそ3人に1人が好きなことを仕事にできたと答えています。この数値、「大人の説教」を耳にする頻度のわりに高いと判断するべきなのでしょうか。続いて、世代別の結果を見てみましょう。

【世代別】自分は好きなことを仕事にすることができたと思っている人の割合

sirabee_sukinakoto_201501260900graph-2

20代:25.7%
30代:26.6%
40代:29.7%
50代:41.4%
60代:49.0%

20代の若者の割合が25.7%に過ぎないのに対し、60代はその2倍近くの49.0%が「好きなことを仕事にできた」と答えています。

関連記事:【何でも右へ倣えの思考?】○人に1人は取引先からカレンダー以外を欲しがってます!

「時代背景説」と「仕事が好きなことになった説」

顕著な世代差は、いったいなにが原因なのでしょうか。60代で「好きなことを仕事にできた」と答えた人たちの声を拾ってみたところ、そこに2つの傾向を見つけることができました。

【パターン1】時代背景説

「自分の商店を開いたのでストレスなく楽しんでます」(60代・男性)

「親のあとを継いで工場をまわしていますが、元々機械いじりが好きだったので好きな仕事ができています」(60代・男性)

「好きな商材に囲まれてお店をしているので」(60代・男性)

「親戚が開いている花屋のパートで働いています。花が大好きなので」(60代・女性)

20世紀に進んだ大きな社会変動の一つに農民層の減少と都市人口の急増があげられます。都市への人口の流入は、多くの零細自営業者を生み出したと言われます。

60代の人たちが仕事を始めるようになった1960~1970年ごろは、今に比べて資本をそれほど必要としない小売業が台頭したと言われます。新雅史さんの著書『商店街はなぜ滅びるのか』(光文社)によれば、大企業化が進む前の時代は被雇用者になるのではなく、個人が小規模でもなんらかのお店や工場を開くことがそこまで珍しくなかったと言います。

こうした時代背景が現在60代の人たちにとって「好きなことを仕事にできている」という回答を選ばせているのかもしれません。

【パターン2】仕事が好きなことになった説

「営業を担当しているが、勉強やスポーツなど目標を達成することが好きだったのは昔から変わらないので」(60代・男性)

「金融の仕事は元々興味なかったが、お金の流れを知ると興味を持って仕事に取り組めるようになった。好きなことを仕事にできていると思う」(60代・男性)

「建築の設計をしている。もともと車をつくりたかったが、家造りの楽しさに目覚めた」(60代・男性)

「服屋の販売員をしている。人に喜んでもらえることが好きだから」(60代・女性)

もう一つのパターンは、いま取り組んでいる仕事が自分のもともと好きな分野だったかは別にして、仕事の中で好きなことを見出したり、仕事に取り組んでいるうちにそれが好きなことに変化していったという回答です。

つまり、60代の人たちには数十年のキャリアのなかで仕事に「好きなこと」を見つけられた人が多かったのです。

関連記事:新卒1年目OLはなぜ大学生に興味を失ったのか?合コンの行動一つでここまで違う!

「好きなことを→仕事」ではなく「仕事→好きなこと」にする選択肢を

今回得られたキャリアにかんする調査はたいへん興味深いものだったと言えるのではないでしょうか。現在、就職活動で進路に悩んでいる学生のみなさんは、60代の声を参考に、自分の関心ある分野から業種や企業を選ぶだけではなく、就職した企業で好きなことを見つけたり、その仕事自体が好きになっていく可能性を期待しながら就職活動に取り組んでみてもよいのかもしれません。

(文/しらべぇ編集部)

【調査概要】
方法:インターネットリサーチ「Qzoo

調査期間:2015年1月16日(金)~2014年1月18日(日) 
対象:全国20代~60代  男女計1500名


若者仕事労働
シェア ツイート 送る アプリで読む

編集部おすすめ


人気記事ランキング