【変人ばっかり】童貞? 風呂嫌い? あの文豪たちの知られざる意外な一面とは

2015/02/14 08:00


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学生時代、国語の教科書に載った「文豪」たちの文章を読みながら、「こんな文章を書く人はさぞかし聖人のように立派な人なのだろう」と想像した者は、少なくないだろう。だが、その実態は…? 中には、かなりの「お騒がせ男」が大勢ひそんでいるのだ。

今回は、「あの文豪の意外な素顔」をご紹介しよう。


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■童貞をこじらせた男:梶井基次郎

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梶井基次郎といえば、丸善に爆弾と見立てたレモンを置く『檸檬』が有名。高校の授業では、「31歳で亡くなった」などと、若くして亡くなった病弱なイメージが強い。だが、実は学生時代の友人であり小説家である中谷孝雄氏の著書『梶井基次郎』には、こんな逸話を残されているのである。

「男3人で酒をあおり、へべれけに酔っ払った梶井は『俺に童貞を捨てさせろ』と怒鳴りながら、祇園の石段下で大の字に寝て動かない。そこで近くの遊廓へ彼を初めて連れて行ったのである。それ以来梶井は、時々その夜のことを呪うように『俺は純粋なものが分らなくなった』とか『堕落してしまった』とか言うが、そんな言葉に私は全く取合わなかった」

なんとまぁ、面倒な男なのだろう。しかし、そんな繊細さこそが、優れた小説を生み出すカギとなったのかもしれない。


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■風呂嫌いの潔癖男:森鷗外

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森鷗外といえば、融通の聞かない高級官僚、そして、医者であるというイメージを持つ者が多いかもしれない。『舞姫』では、ドイツ人女性・エリスを妊娠させた挙げ句、捨てたという非情な男の姿を描いているが、実際の森鷗外自身はどんな男だったのだろうか。

森鷗外は実は、極度の潔癖性であったことが伝えられている。衛生学を学んだ彼は、食物は果物も含めて、加熱しないと食べられなくなってしまった。おまけに「風呂嫌い」だったのだという。風呂場には細菌が多くいるとして、風呂の代わりに、たらいで1日に2度身を清めるのを日課としていたらしい。

「つかう手ぬぐいは一つで顔をふくのも股の間を拭うのも同一である。『人が汚いというがおれのからだに汚い所はない』と父自身が書いている通りすこぶる自信の強い男であった。父はこの習慣のため水の不足な戦場などで他人のように困らなかったそうである」(森於菟「子規 緑雨 鷗外の垢」)

息子もこう証言している通り、「本当に衛生的なのか?」はともかくとして、衛生面にはかなり気を使っていたようだ。


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■芥川龍之介が好き過ぎて、殺人予告まで出した男:太宰治

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太宰治といえば、「自殺マニア」として有名で、もともと聖人のイメージなどないかもしれないが、「自殺騒動」以外にも何かとお騒がせな男である。有名なのは、「芥川賞」がどうしても欲しくてたまらず、2度も事件を引き起こしていることだろう。太宰は、第一回芥川賞候補作にノミネートされるも賞を受賞することができなかった。

この時、川端康成は自殺未遂やパビナールという薬の中毒である太宰が書いた作品を「才能は感じるが、生活にイヤな雲を感じる」と評した。懸命に小説を書いたのに、生活を批判されて落選となった太宰は驚くべき行動に出る。「文芸通信」10月号に、「川端康成へ」というエッセイを書いたのだ。

「刺す。さうも思つた。大悪党だと思つた。」

まさに殺人予告。敬愛する芥川龍之介の賞が欲しい。薬漬けの毎日で借金がかさむばかりだから返済したい。そんな思いがあったとはいえ、この言葉には呆れる。続く、第2回でも芥川賞落選となり、今度は選考委員・佐藤春夫と騒動になっているのだから、もう目も当てられない。


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■姪と「関係」→それをネタに小説を書いた男:島崎藤村

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『夜明け前』『破戒』など、見たままをありのままに書く自然主義の小説家として知られる島崎藤村。彼の妻・冬は四女を出産すると、すぐ亡くなってしまったというが、生まれた娘の世話をするために、やってきた藤村の姪・こま子と関係を持ってしまったのだという。

その後、彼女は妊娠してしまうが、藤村は責任を取るのではなく、ほとぼりの覚めるのを待つために、パリに留学と称して逃げ出す。帰国後、彼はこの出来事を作品「新生」として発表し、彼女との関係を断とうとするが、今度はスキャンダルで日本にいられなくなったこま子が台湾に逃れることになった。

「もっと女性のことを思いやってやれよ」と呆れるが、自分の作品のことにしか興味がなくなってしまうのは、小説家の性なのかもしれない。


教科書に文章が載る文豪とはいえ、普通の人間と何ら変わらない。むしろ一般人よりも、おかしな一面を抱えていたりする。そう思えれば、もっと近代文学も楽しめるのではないか。こういうことは学生時代に聞いておきたかったが。

(文/しらべぇ編集部

エピソード小説文学
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