米ドラマ『ブレイキング・バッド』に学ぶ「実りのないダメ会議の構成要素」

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2008年から2013年に渡り、ケーブルチャンネル・AMCで計5シーズン放送されたアメリカのテレビドラマシリーズ『ブレイキング・バッド』。

ドラマ界最高峰の栄誉とされる「プライムタイム・エミー賞」のドラマ部門で5度のノミネート、2度の受賞(2013年・2014年)をはたし、歴代で最も高く評価されたテレビシリーズとしてギネス世界記録にも認定されている超人気ドラマだ。

肺がんに侵された主人公の高校教師ウォルター・ホワイトが、死ぬ前に家族に財産を残すため、かつての教え子と覚せい剤の密造をはじめる……というあらすじの同作。人間の感情やコミュニケーションに潜む機微の描き方も見もののひとつとなっているが、今回は、シーズン1の第5話「ウォルターの選択」の重要場面に見る、「建設的な議論が生まれない会議」の事例を紹介しよう。


 

■結論を絶対曲げないリーダー、不毛な例え話…

副作用が起きる薬によるがん治療に取り組むことに戸惑いを見せるウォルター。彼の妻・スカイラーは、そんなウォルターに危機感をもち、妹のマリーとその夫・ハンク、そして息子のウォルターJrを巻き込み、今後の肺がんとの向き合い方について家族会議を開く。ウォルターも含めた5人で会議が始まるのだが…。


●妻・スカイラー:結論が決まっている、自分の考えと異なる意見には聞く耳を持たない

家族会議の発案者であり、司会役でもあるスカイラー。彼女が決めた会議のルールは、「“告白まくら”を持っている人だけが自由に自分の思っていることを言う」というもの。

最初にまくらを持ち、落ち着いた様子で「ウォルターに治療を受けて欲しい」という気持ちを語る彼女だが、どうしても夫に生きていてほしい彼女の中での結論は、「治療を受ける以外の選択肢はありえない」と決まっている。

自分が話している間に他の人が口を挟むと、「まくらを持ってる人だけが喋るのがルールよ」と注意する彼女だが、いざ別の人が治療以外の選択肢を示唆すると、「あなた何ふざけたこと言ってるの?」とまくらを持っていないのに感情的に反論する。

自分の考える方針を曲げず、他のメンバーの意見を聞こうとしないので、彼女がいる限り建設的な議論は行われない。


●妻の妹・マリー:スカイラーの敵対的ポジション

医療現場で働く彼女は、「自由に自分の思っていることを言う」というルールに従い、自分が仕事でさまざまな患者を目にしてきた経験から、副作用の苦痛を伴う治療に戸惑うウォルターの考えに理解を示す

「ウォルターのしたいようにすべきよ」と話す彼女だが、これにスカイラーが激怒。スカイラーは、「治療を受けるよう説得するって約束したじゃない!」と突っかかり、マリーは「自分の思っていることを言えって言ったじゃない!」と反論する。


●マリーの夫・ハンク:例え話で上手いことを言おうとするだけ、流されやすい

ウォルターのよき理解者で、快活な性格のハンク。しかし、意見を求められると、ウォルターが置かれている状況について、「いまの君は、ポーカーでいえば…」と例え話を始める。それが上手く伝わらないと今度は、野球に例える。これも伝わらない。

結局、自分の前に話したスカイラーに同調するような意見を言うが、その後マリーの話を聞くと、「おれもそう思う」とすぐに流される。結局のところ、自分なりの考えはなく、会議をかき乱す存在


●息子・ウォルターJr:感情しか言わない

脳性麻痺をかかえており、言葉少ない彼が発するのは、ウォルターにどうして欲しいかということではなく、「父さんはダサい」「臆病だ」という感情的な言葉だけ。彼が何を言っても、議論は生まれない。


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■建設的な議論が生まれない会議の構成要素

この会議の場合、結論を出すのはウォルターだ。最後にまくらを持った彼は、まったくまとまりのない家族会議を見て、「みんな考えは違うようだが、みんな共通しているのは、愛を感じるということだ」と感想を語る。

ドラマの一場面であるため、この会議はもちろんフィクションストーリーの一部。本記事では、会議がもたらした“結果”やその正否について触れることはしない。

ただし、秀逸な脚本によって、「建設的な議論が生まれない会議」の本質を表しているといえるだろう。

みんなの意見を聞くという姿勢を示しながらも絶対に結論を曲げないリーダー何も生まない例え話すぐに流されて多数派を変える人、結論を出す人を惑わすだけの主観的・感情的な物言い…。

ビジネスパーソンのみなさんは、過去の実りがなかった会議の中に、これらの要素を思い浮かべることができるのではないだろうか?

(文/しらべぇ編集部


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