語り継がれる「ことわざ」のつくり方【黒田勇樹の妄想的語源しらべぇ】
フリーランスになってから、「どうせ俺がいないと始まらないんだから、5分10分の遅刻は遅刻じゃない」という価値観が自分の中に生まれつつあり、戦々恐々としている黒田勇樹です。こんにちは。
大人なんだからね、時間ぴったりに現場にいないとね。
このコラムでは、子供の頃から芸能の世界で台本や台詞に触れ続け、今なお脚本家やライターとして「言葉」と向かい合っている筆者の視点から、様々な「言葉の成り立ち」について好き勝手に調べ、妄想をふくらませていこうと思います。
この連載の中で、「言葉の成り立ち」について考えるにあたって、無視しては通れない存在。それは「ことわざ」です。
以前、名言について考察した際にも書きましたが、筆者は「それだけで状況が限定され、誰しもが同じ意味で捉えることが出来る言葉」を美しいと思っており、ことわざにはその全てが詰まっています。
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■「石の上にも3年」
Photo by Tambako The Jaguar
絶妙です。これが「石の上にも15年」とか「剣山の上に2ヶ月」であれば、心に響く人は、激減するのではないでしょうか?「石」の上に「3年」だからこそ、「そうだな、そのくらいは我慢しなければな」と、自分を戒めることができるのです。
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■ことわざの成り立ち
これは様々な出自があるようですが、基本的には文化や風俗に根付き「語り継がれている」名言であることが「ことわざ」の定義とされているようです。
慣用句と似ていますが、故事や伝説から発生しているものが多いせいか、「そこに物語がある」ものが「ことわざ」に分類されていることがよく見られます。
先ほどの「石の上にも3年」や「李下に冠を正さず」など、そこだけを切り取っても教訓とともに、ストーリーを感じないでしょうか?
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■新しいことわざは生まれない?
Photo by Marco / Zak
離婚後の心境を端的にあらわす新語「辛すぎて今なら妖刀が打てそう」が、惜しくも流行語大賞を逃した筆者ですが、自分も何か後世に語り継がれる「ことわざ」を作りたいと考えています。
しかし、「ことわざ」は語り継がれてこそ初めて「ことわざ」足りうるワケで、今何を言ってもそれが「ことわざ」と、呼ばれることはありません。
もし呼ばれることになるとしたら100年後ぐらいでしょうか?文化に基づきながら、普遍的に語り継がれるストーリーを感じる一言。こういうのは、どうでしょうか?
「電車は、急いでくれない」
早めに出かけることを心がけましょう、という意味のことわざです。
マジで電車は急いでくれないし、電車の中でどんなに焦っても到着時間はダイヤ通り。遅刻しがちな新入社員などに使ってみてはいかがでしょうか?
少なくとも筆者は、今日から自分に言い聞かせようと思います。
(文/ハイパーメディアフリーター・黒田勇樹)