「紙」を意味するラテン語から生まれた3つの外来語【黒田勇樹の妄想的語源しらべぇ】
子供の頃、アメリカ人に「君はどこの出身?」と聞かれたので「どこだと思う?」と聞き返してみたところ「イギリスとインドのハーフ」と、答えられたことがある黒田勇樹です。こんにちは。残念!仙台と茨城のハーフだよ!海の外の血、一滴も入ってないよ!
このコラムでは、子供の頃から芸能の世界で台本や台詞に触れ続け、今なお脚本家やライターとして「言葉」と向かい合っている筆者の視点から、様々な「言葉の成り立ち」について好き勝手に調べ、妄想をふくらませていこうと思います。
この連載の初期に、世界各国の「名前」を意味する言葉の「響き」が似ていると書かせて頂きましたが、この逆パターン。
「同じ言葉が、輸入の過程で意味が変わった」と、いうものも存在します。
所謂、外来語。
海外からきた言葉が、その国独自の意味で使われるようになることですが、この由来を紐解くことで日本の歴史がわかったりもするのです。
お正月に皆で遊ぶ「カルタ」、患者さんの症状を共有する記録「カルテ」、トランプなど全般を意味する「カード」。
実はこれ、全て「カート(charta)」、ラテン語で「紙」を表す言葉が、語源なんです。
「カルタ」はポルトガル語で「紙」、つまりポルトガルから伝わってきた「紙」を使った遊びが、そのまま転じて日本では「かるた」。
「カルテ」はドイツ語で「紙」、「カード」は英語で「紙」。
同じ「紙」を表すはずの言葉が、遊びはポルトガルから、医学はドイツから、文化はアメリカから伝わってきた為に、日本国内では、それぞれ個別の意味を持って使われるようになったということが、見て取れます。
ちなみに、フランス語で「紙」は「カルト」で、「ア・ラ・カルト」も「献立表に書いてあるやつ」という意味。
同じ「紙」を表す言葉でも、伝わってきた道程によって、こんなに意味が変わってくる。
逆にその道程をさかのぼっていくことで、「どんな文化」が「どこから伝わってきたのか」の「ルーツ」がわかる。そんな考察のご紹介でした。
あ、「ルーツ」も「ルート」と同じ「道」を表す言葉なのに、日本では使い分けられていますね。やっぱり言葉って面白い。
(文/ハイパーメディアフリーター・黒田勇樹)