ロコモコは進化するのか!? “変化形”の店2軒【マッキー牧元の世界味しらべぇ】
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長い間ロコモコという料理が疑問だった。ハンバーグに白飯でいいじゃないの。なんでご飯を汚すのよと思っていた。
誕生は、1940年代後半のハワイ島ヒロの町。レストラン『リンカーン・グリル』隣にあるリンカーン公園で、フットボールの練習をしていた一人の少年が注文したとされる。
練習を終えた少年が、店主のナンシー・イノウエさんに¢25を差し出して言った。「これで満腹になる新しい食べ物を作ってよ」。
ナンシーさんはサイミンボウルに、ご飯をよそい、ハンバーグをのせ、グレイビーソースをかけ、目玉焼きをのせて少年に差し出した。これがロコモコ誕生の瞬間だという。
ちなみに名前の由来は、その少年のニックネームらしい。大胆なプレイをする少年のニックネームは、クレイジーを意味するスペイン語の“ロコ”に響きがよい“モコ”をつけて『ロコモコ』となったそうである。
ハワイらしい、大味で、大盛り、アバウトな料理である。しかし最近そのロコモコの変形があちこちで誕生しているらしい。早速2軒をチェックした。
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■Heavenly
一軒はホノルルホテル街の中心にある「Heavenly」。地元のオーガニックな食材を使った食堂である。
こちらの「ロコモコ」は、豆を混ぜた五穀米ハンバーグが載せられている。仮に、ハンバーグの相手が五穀米だと、どうも食欲喚起力が減衰するが、上に乗せると威力を発揮し、実に合うのだな。
パラリと炊かれた五穀米が、濃すぎないソースや肉汁と合う。途中でハンバーグを砕いて、米と豆をよくよく混ぜて食べてもみたが、その渾然とした味も楽しい。
添えられたキヌアやアボカド、ケールなどを箸休めにつまみながら食べると、さらにバランスがいい。B級グルメ、ダイエットの敵のようなロコモコであるが、ヘルシーにもなりえて、しかもおいしいという真実が、進化である。
ロコモコのほかに、アサイーボウルやサラダ、ニンジンジュースがお奨め。エッグベネディクトは今一つかな。日本人経営で日本人スタッフもいる。
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■Moena Cafe
もう一軒は、ホノルルから車で10分。ハワイカイ地区のココマリーナセンターにあるカフェ、「Moena Cafe」。
こちらのロコモコは、肉がひき肉のパテではなくショートリブで、ご飯が炒飯という組み合わせである(白いご飯も選べる)。
ソースがデミグラスではなく、甘辛い照焼き風。つまり照焼き風牛肉のせ炒飯、目玉焼きのせという、これでもかというこてこてな味なのである。
前記の店とは真逆。このこてこて具合というか下品さの振り切りがいい。腹がすいているなら、なおいい。あのロコモコの中途半端な感じがなく、一つの料理としての個性がある。これもまた進化なのである。
この店でもう一つ有名なのが、「ストロベリー&ミルクパンケーキ」である。パンケーキの上にイチゴ牛乳味のクリームがたっぷり塗られている。甘い。相当に甘い。しかしその駄菓子屋感にくすぐられるパンケーキである。
ロコモコはこの二軒だけではない。ヒルトンホテルのダイニングでは、フォアグラを乗せた「ロコモコ」を45ドルほどで出して、これまた人気だという。恐ろしい。
(写真・文/マッキー牧元)