【議論】「父の日・母の日」は教育現場で控えるべきか?大多数の意見は…
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今度の週末、6月の第3日曜日は、父の日。父親に感謝の気持ちをあらわす記念日だ。
6月のこの日に行なわれるのは、アメリカで生まれた習慣だが、世界各国には1月から12月まで、さまざまな父の日が定められている。
■「ひとり親家庭への配慮」で教育現場から排除?
ところが、近年は離婚率の上昇によって「ひとり親家庭」が増えていることから、保育園などでの父の日・母の日行事が行なわれなくなっていると報じられた。
こうした状況に、世間はどのように感じているのだろうか? アンケートサイト「マインドソナー」を使って、全国10〜50代の男女419名に聞いてみた。
およそ8割が「片親家庭に配慮して控えるべきとは思わない」と回答。結婚・離婚の経験も影響していると考えられるが、大きな差がつく結果となった。
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■世界初の「母の日」は「亡くなった母」に捧げるものだった
初めて5月の第2日曜日に母の日が行なわれたのは、1907年5月12日。
アンナ・ジャービスという女性が、その2年前に亡くなった母を偲んで、ウエストバージニア州の教会で参加者に白いカーネーションを贈ったのが、母の日の起源とされている。
一方、1909年にワシントン州に住むソノラ・スマート・ドッドという女性が、母の日にならって教会で初めて「父の日」の礼拝を行なった際、彼女の父は存命だった。
このように父の日・母の日の始まりは、必ずしも生きている両親に感謝するイベントではなかったのだ。
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■過度な「配慮」が生む社会の閉塞感
「今日は父の日(母の日)だから、感謝しなさい」と親から伝えるのは、抵抗を感じる人も少なくないだろう。そのため、こうしたイベントは、教育現場での似顔絵や作文などによって受け継がれ、社会に定着してきた側面は否めない。
ネットでは、不妊治療に悩む自分への配慮を求める女性を揶揄する「不妊様」や、妊娠中に配慮してほしいという女性を呼ぶ「妊婦様」といった、残念な言葉が流布している。
いたわりや思いやりの心は大切。しかし、こうした言葉は、過度の配慮やそれを要求するような行動が、周囲にストレスを与えてしまった結果とも言える。
会うことがかなわなくても、父と母がいなければ、子供が産まれることはない。多様化する家族の形を受け入れつつ、よい伝統を排除することのない社会が、望まれるのではないだろうか。
(文/しらべぇ編集部・タカハシマコト)