【絶滅寸前のオシャレ】セミ短・半カル・洋ラン「変形学生服」の世界を紹介!
こんにちは、中学~高校と学生服、いわゆる「学ラン」で過ごしてきたスタイリストの久保田(フランソワ)です。
当時(約30年前)、オシャレといえばもっぱら「変形学生服」でした。
不良(ヤンキー)が着る服! というイメージがあるかもしれませんが、あくまでもファッションとして変形学生服を身に付けている学生も少なからずいたものです。
今思えばどこがオシャレなのか、疑問な部分も多々ありますが。ちなみに筆者(神奈川県出身)の愛用していたオシャレ学生服コーディネートは、
・短ラン
・ボンタン
・チェンジボタン
・西陣織の財布+ピンクのウォレットチェーン
・派手な色柄のコンバース
という、なかなかの若気のいたりっぷり。筆者がオシャレに目覚めたのは、おそらくこのときだったはず。
……え?
どんな服だかさっぱり分からない?
それでは、当時を思い起こしつつ懐かしの変形学生服について解説してみましょう。
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■変形学生服、7種の上着を紹介!
学生服の上着(学ラン)は丈の長さで個性を表現され、短い物から順に、
①短ラン ②セミ短 ③標準(普通の学ラン) ④半カル ⑤中ラン ⑥長ラン ⑦洋ラン
と呼ばれていました。
つめ襟(スタンドカラー)の高さも丈の長さに準ずることが多いようです。※これは神奈川県の場合で、地域によって呼称に違いがある模様。
①短ラン→硬派でオシャレさんが好む?
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丈の短い学ラン。短かさに応じて前ボタンの数が少なくなる(通常5つボタン)ため、4つボタンはかなり気合いの入った不良、3つボタンは完全にクレイジーだから近寄るな、と言われていました。
また、当時一世を風靡した不良マンガ『ビー・バップ・ハイスクール』のキャラクター・ヒロシの影響でしょうか。短ランをチョイスするのは軟派でオシャレっぽい男が多かったのです。
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②セミ短→パシリ役が着ているイメージ
やや長めの短ラン。着こなしのバランスが難しく、格好悪く見えがちなため着用者は少数派。
不良に憧れた中学1年生や、パシリ(グループの下っ端)役が着ているイメージ。
③標準→内側のカラーを外すと不良の第一歩!?
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各学校推奨の普通の学ラン。クラスの5割以上はこれを着用。
詰め襟の内側に「カラー」と呼ばれる、塩化ビニール製の謎の白い板が着いており、着脱可能なこれを外していると不良への第一歩と騒がれました。
④半カル→中途半端な不良が着ていた?
不良の先輩から口伝で受け継がれた呼称のため、正しい表記も意味も不明。
標準よりちょっとだけ(5~10cmほど)丈の長い上着で、転じて中途半端な不良や半端者を指して「この半カルが!」という侮蔑表現もあったのです。
⑤中ラン→高身長に人気だった
標準より20cmくらい長い丈の学ラン。比較的背の高い学生が好んで着用。
⑥長ラン→強さの象徴
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ヒザ丈くらいの長さの学ラン。昔から番長や応援団といえばこの長ラン、というイメージもあるほど、代表的な変形学生服。
オシャレで着る服というより、権威や強さの象徴といった意味合いが強め。
⑦洋ラン→もはやロングコート
画像はプロス通販のスクリーンショット
長ランよりさらに長い、もはやロングコートとも思える異常な丈の学ラン。
実際に着用している学生を見たことはほとんどなかったのですが、伝説の不良マンガ『湘南爆走族』で主人公が愛用していたことはみなさんもご存じの通り。
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余談ですが、当時の2大不良マンガ『ビー・バップ・ハイスクール』『湘南爆走族』は実写化もされていて、ビーバップの主人公・中間徹役には、後にあぶない刑事シリーズでブレイクする仲村トオルを抜擢。
湘南爆走族の主人公・江口洋助役には、その後トレンディー俳優として名を馳せた江口洋介が選ばれています。
このとき、主人公の片腕・石川晃役をつとめたのはあの織田裕二であり、3人ともこれがデビュー作でした。
……と、なんだか思いのほか長くなってしまったので、後編に続きます。
(文/久保田フランソワ)