【ゴールしないサッカー】日本のフリースタイル・フットボールチーム世界一への軌跡

2015/09/05 09:00


2015年8月23日〜29日、フリースタイル・フットボールの世界選手権「SUPERBALL」がチェコにて行われました。

フリースタイル・フットボール(Freestyle football)とは、リフティングやドリブルといった、サッカーの技術を一種の芸術的・競技的なカルチャーとして発展させたものです。

競技内に様々な形式がある中でも、2人のプレイヤーがペアとなり技を披露する「ダブルルーティン」において、なんと日本人が世界一に輝いたのです。


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■ボールに命が吹き込まれたように“踊り出す”

チェコから日本に帰国して早々、取材に応じてくれたのは「ALEG-Re」(アレッグ)というチーム。YOSSHIさん、YU-Jさん、i-zuさんの3名で構成されています。

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(※左からYOSSHIさん、i-zuさん、YU-Jさん)

「普段は練習したり、お酒飲んだり、他のプレイヤーの動画を見たり…普通の生活してますよ(笑)」と語る姿は、至って“普通”の若者。しかし彼らが一度ボールを蹴ると一変!ボールに命が吹き込まれたように“踊り出す”のです。


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■始めたきっかけは「ホームレスのおっさん」!?

「フリースタイル・フットボール」をやり始めたきっかけは、

YU-J:「僕とYOSSHIは一緒の高校だったんですが、フリースタイル・フットボールは『サッカーの延長』でした。その後サッカーよりもハマってしまって、今に至ります」

i-zu:「僕は公園でサッカーを練習していた時に、たまたま外国人のホームレスみたいなおじさんがいたんです。言葉は通じなかったんですけど、技を教えてもらった時にすごく楽しかった。それで高校で部活を引退してから、フリースタイル・フットボールをやり始めましたね」



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■日本一から世界一へ

YU-J:「『おめでとう』って多くの人に言って頂けて、ようやく実感が湧いてきました(笑)」

はにかんだ笑顔で語るYU-Jさん。そして、輝くメダルと賞状、トロフィーを嬉しそうに見せるYOSSHIさん。

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しかし、「ダブルルーティン」という形式は2名しか出場することはできません。日本で2人の応援をしていたi-zuさんは自らの心境をこう語ります。

i-zu:「『俺も出たかった』とは感じていませんでした。むしろ、『頼むぞ!』という気持ちでいっぱいでしたね」

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YOSSHI:「いずれ3人でできる環境や、ジャンルができたら嬉しい。むしろ、3人じゃなくても大人数でフリースタイルをやってもいいと思うんです」

YU-J:「その為には、分かりやすい尺度で説得できる力がないといけなくて。世界一になる必要があったんです」


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■2人で美しさを徹底的に極める

2015-09-02 しらべぇ記事用_画像5 i-zuさんやファンの方々が日本で固唾を呑んで見守る中、なんと、4連覇していたフランス人チームを破って世界一になってみせたお二人。

しかも初出場とのことですが、やはり世界の舞台となるとレベルが格段に違うのでは?


YOSSHI:「正直に言うと、僕らは『世界一になれる』と確信していました。同じ技を二人で披露する時に、息が合ったコンビネーションを表現しなければならないのですが、海外のプレイヤーはとにかく難易度重視で、技の“美しさ”を魅せる部分では欠けています」

YU-J:「自分たちはその“シンクロ率”が高いという自信があったけれど、ALEG-Reのスタイルが認められるかどうかが不安でした。でも、僕らのショーが終わった瞬間、スタンディングオベーションが巻き起こったんです。その時に、自分たちのやってきたことが報われた気がしました」


現在、YOSSHIさんとYU-Jさんは同居しており、普段の生活を共にしているだけにその絆も相当なもの。力強い言葉からは、フリースタイル・フットボールという競技に対して真摯に・丁寧に向き合う姿勢が垣間見えます。


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■今後の目標

今回の大会で優勝するまでは「日本一」というタイトルを保持していたALEG-Re。“世界の頂点”を極め、着々と目標を達成していく彼らの野望とは…?

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i-zu:「フリースタイル・フットボールといえばALEG-Re、という存在感を見せつけたい。日本国内にとどまらず、様々な国から“ALEG-Reのパフォーマンスが見たい”と声をかけてもらえるような影響力を付けていきたいですね」

YU-J:「フリースタイル・フットボールの中の『ダブルルーティン』という形式においてしか、“世界一”ではない。僕らはまだまだです。未だにダメ出しされますし(笑)」

YOSSHI:「ダンスやプロジェクションマッピングなど、他のエンタテインメント要素とフリースタイル・フットボールが混ざったら、きっと面白いだろうなと思っています」


■力が発揮できるのは…

既に深夜番組などのメディアに露出している「ALEG-Re」。世界一ともなると、これから引っ張りだこになりそうな予感がしているのですが…?


i-zu:「引っ張りだこになれば嬉しい限りです!でも今は、シーンを引っ張っていけたら、と考えています」

YOSSHI:「人の目に触れる機会が増えるので、『さすが世界チャンピオンだ』と感じてもらえるように、肩書きに頼らず、これまで以上に練習に取り組んで、ALEG-Reは進化し続けていきます」

YU-J:「『いつも通り』。それが僕らにとって一番、力を発揮できると思うんです」


あどけない笑顔で語りながらも、3人の目には、静かに燃える炎が宿っていました。これからも日本中を、そして世界中を沸かせる「台風の目」であり続けることでしょう。

(文/しらべぇ編集部・矢野恵美

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