美食と歴史をともに味わう!「安政の大獄」の前から続く静岡県・三島の鰻
日本人がこよなく愛する魚といえば、マグロやサンマなど数あるが、鰻も代表的なもののひとつだろう。
産卵場所や稚魚のエサなど長らく謎だった生態を研究し、完全養殖への道をひらきつつあるのも日本人なら、アフリカや東南アジアなど世界中からニホンウナギに似た種類を輸入しているのも日本。鰻の骨は、新石器時代の遺跡からも発見されている。
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■富士山の名水でおいしくなる三島の鰻
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鰻といえば、浜名湖での養殖や四万十川の天然物などが知られているが、名物になっている地域としては静岡県三島市も名高い。
三島市の水道は、日本三大清流に数えられる柿田川などすべて富士山の湧水を水源としている。産地から運ばれてきた鰻は、1週間ほどきれいな水で泥や臭みを抜くが、この名水が鰻をおいしくするのだという。
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■幕末の動乱も見つめた創業160年の名店
水のきれいな三島には古くから数多くの鰻料理店があるが、その草分け的存在なのが「うなぎ 桜屋」だ。創業はじつに安政3年(西暦1856年)。
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■大老・井伊直弼による「安政の大獄」は安政5年から
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安政といえば、ちょうど今年のNHK大河ドラマ『花燃ゆ』の舞台となった時代。幕府大老の井伊直弼が、開国に反対する志士や諸大名を次々と処罰し、長州の吉田松陰が処刑された「安政の大獄」でもなじみ深い元号だろう。
桜屋の創業は、それよりも2年さかのぼる。
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■歴史を感じさせる店内の風格
建物はきれいに改修されているが、店内にはやはり風格がただよう。
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■ついついお酒がほしくなる肝の時雨煮
鰻料理は、手間と時間がかかるもの。丼やお重を注文したら、鰻屋ならではの一品を肴に待つのもまた一興。甘辛く煮つけられた肝の時雨煮で、お酒が進みすぎないようにご用心を。
■この照りとふわふわ感が名店の技
混み具合によって異なるがおおよそ30分ほどで供される、こちらは「うなぎ丼(並)」。外はカリカリに香ばしくふっくらと焼き上げられた名店の技は、3750円(蒲焼き2枚)の価値ある逸品。
■旅情を高めるならローカル線で
桜屋まではJR三島駅からも徒歩10分ほどだが、旅情を盛り上げたいなら、三島広小路駅まで伊豆箱根鉄道(駿豆線)に1駅乗ってみるのも楽しい。桜屋は、駅を降りたすぐ目の前にある。
【うなぎ 桜屋】
住所 静岡県三島市広小路町13-2
営業時間 11:00〜20:00(水曜定休)
(取材・文/しらべぇ編集部・タカハシマコト)