【ドラマ・CD・書籍】多分野で実績を残した「トリプルスリー芸能人」を考察
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プロ野球選手が、同一シーズンに打率3割、ホームラン30本、30盗塁を記録するトリプルスリー。今シーズンはセ・パ両リーグで達成者が出て大いに話題となった。
他方、芸能界でも、一分野にとどまらず多くの分野で活躍する人材がいる。
今年は、芸人であるピース又吉直樹の芥川賞受賞というニュースもあったが、長い芸能史を振り返ってみると「トリプルスリー芸能人」とでも呼びたくなるほど多分野で実績を残したスターはいた。
そこで独断ながら、
この3条件をすべて達成した芸能人について考察してみたい。
テレビ番組で視聴率30%は社会現象とならねば達成不可能な数字であるし、CD・書籍のミリオンセラーは(時代により価値の違いはあるが)今も大ヒットの目安である。
難しいのはプロ野球の記録と違い、これらの数字の基準が必ずしも明確でないことだ。レコード売上といっても出荷枚数なのか実売枚数なのかによって異なり、書籍に至ってはそもそも実売部数は公表されない。
従って、本コラムでは「視聴率:ビデオリサーチ関東地区平均視聴率」「レコード・CD:オリコン集計」「書籍:累計発行部数推計値あるいは出版社公称部数」を基準とする。
書籍については業界特性上曖昧になるが、そもそも公称でもミリオンセラー自体が少ないのでお許しいただきたい。また、近年は日本レコード協会がダウンロード数でもミリオンセラー認定しているが、本コラムでは対象外とした。
前置きが長くなったが、そういう曖昧な集計なので、ゆるい気持ちでご覧いただきたい。
■3条件すべて達成しているのは…
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いきなり結論から言ってしまうとこの3条件をすべて達成したのは、唯一SMAPだけである。
<SMAP>
◯音楽:世界に一つだけの花(282万枚)
◯視聴率:SMAP×SMAP(34.2%)
◯書籍:ベラベラブック(140万部)
香取慎吾が生徒役の英会話本「ベラベラブック」をSMAP書籍とするのは乱暴という意見もあろうが、他にも中居正広私服本のシリーズ累計120万部などもあり、ここはグループ合わせ技として達成認定したい。
ドラマでもメンバーの木村拓哉が30%を複数回記録するなど、不世出のグループであることは異論のはさみようがない。日本におけるキングオブ芸能人はSMAPというのが一旦の結論である。
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■惜しかったスターは3人
3条件すべて達成となるとSMAPだけだが、他にもかなり惜しかったスターはいる。
<山口百恵>
△音楽:横須賀ストーリー(66万枚)
◯視聴率:赤い疑惑(30.9%)
◯書籍:蒼い時(198万部)
<武田鉄矢(海援隊)>
△音楽:贈る言葉(95万枚)
◯視聴率:3年B組金八先生(39.9%)
◯書籍:お~い竜馬(原作者・累計1500万部)
<浜田雅功>
◯音楽:WOW WAR TONIGHT(213万枚)
△視聴率:明日があるさ(29.0%)
△書籍:読め!(90万部)
この3人は3分野でそれぞれ高い実績を挙げている。山口百恵も武田鉄矢もレコード協会発表ではミリオン達成者だが、今回はオリコンを基準としたので残念ながら未達成。
浜田雅功については個人としても達成に極めて近いが、相方の松本人志が書籍「遺書」でミリオン達成しており、ダウンタウン2人合わせれば更に惜しかった。
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■2分野での達成はこの5人
<福山雅治>
◯音楽:桜坂(230万枚)
◯視聴率:一つ屋根の下(37.8%)
<有吉弘行(猿岩石)>
◯音楽:白い雲のように(113万枚)
◯書籍:猿岩石日記(250万部)
<藤谷美和子>
◯音楽:愛が生まれた日(133万枚)
◯視聴率:心はいつもラムネ色(48.6%)
<いしだあゆみ>
◯音楽:ブルー・ライト・ヨコハマ(100万枚)
◯視聴率:青春家族(44.2%)
<松任谷由実>
◯音楽:真夏の夜の夢(143万枚)
◯書籍:ルージュの伝言(150万部)
この5人は2分野では文句無しの達成だが、残りの1分野で達成に近づいた作品が無かった。とくに書籍が難しい。尚、オリコン集計開始前なので参考記録だが、以下の2人も2分野で達成している。
<水前寺清子>
◯音楽:いっぽんどっこの唄(100万枚)
◯視聴率:ありがとう(56.3%)
<石原裕次郎>
◯音楽:銀座の恋の物語(335万枚)
◯視聴率:太陽にほえろ!(40.0%)
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■今後はさらに達成がむずかしくなる?
その他、意外なのは本業が歌手である和田アキ子、郷ひろみは書籍のみの達成(和田アキ子だ文句あっか!、ダディ)、中森明菜はドラマ視聴率のみ(素顔のままで)の達成であること。
他方、芸人のとんねるずはCDのみ(ガラガラヘビがやってくる)の達成なのが面白い(ただし「みなさんのおかげです」最高視聴率は、30%に限りなく近い29.5%)。
田原俊彦、小泉今日子、長渕剛、篠原涼子、今井美樹なども各分野高い実績を挙げているが、3条件クリアには至らず。なかなか難しい。
CDは売れない時代となって久しく、テレビの平均視聴率は低下傾向、出版不況で書籍販売も低調という現代。これから更に達成が難しくなっていくかもしれない。
しかし、2010年代になってもブームとなったものは各条件を超えているし、ここで名前が挙がったのはみんな大スターばかり。これからも達成者が出てくることを期待したい。
(文/前川ヤスタカ)