【ドラマ・CD・書籍】多分野で実績を残した「トリプルスリー芸能人」を考察

2015/11/09 06:30


sirabee1110star2©iStock.com/tommasolizzul

プロ野球選手が、同一シーズンに打率3割、ホームラン30本、30盗塁を記録するトリプルスリー。今シーズンはセ・パ両リーグで達成者が出て大いに話題となった。

他方、芸能界でも、一分野にとどまらず多くの分野で活躍する人材がいる。

今年は、芸人であるピース又吉直樹の芥川賞受賞というニュースもあったが、長い芸能史を振り返ってみると「トリプルスリー芸能人」とでも呼びたくなるほど多分野で実績を残したスターはいた。

そこで独断ながら、

①主演ドラマ/冠番組で最高視聴率:30%

②自身あるいは所属するグループのシングルCD(レコード):100万枚

③自身の著書・写真集など:100万部


この3条件をすべて達成した芸能人について考察してみたい

テレビ番組で視聴率30%は社会現象とならねば達成不可能な数字であるし、CD・書籍のミリオンセラーは(時代により価値の違いはあるが)今も大ヒットの目安である。

難しいのはプロ野球の記録と違い、これらの数字の基準が必ずしも明確でないことだ。レコード売上といっても出荷枚数なのか実売枚数なのかによって異なり、書籍に至ってはそもそも実売部数は公表されない。

従って、本コラムでは「視聴率:ビデオリサーチ関東地区平均視聴率」「レコード・CD:オリコン集計」「書籍:累計発行部数推計値あるいは出版社公称部数」を基準とする。

書籍については業界特性上曖昧になるが、そもそも公称でもミリオンセラー自体が少ないのでお許しいただきたい。また、近年は日本レコード協会がダウンロード数でもミリオンセラー認定しているが、本コラムでは対象外とした。

前置きが長くなったが、そういう曖昧な集計なので、ゆるい気持ちでご覧いただきたい。



3条件すべて達成しているのは…

sirabee1110star画像出典:Amazon

いきなり結論から言ってしまうとこの3条件をすべて達成したのは、唯一SMAPだけである。

<SMAP>

◯音楽:世界に一つだけの花(282万枚)

◯視聴率:SMAP×SMAP(34.2%)

◯書籍:ベラベラブック(140万部)


香取慎吾が生徒役の英会話本「ベラベラブック」をSMAP書籍とするのは乱暴という意見もあろうが、他にも中居正広私服本のシリーズ累計120万部などもあり、ここはグループ合わせ技として達成認定したい。

ドラマでもメンバーの木村拓哉が30%を複数回記録するなど、不世出のグループであることは異論のはさみようがない。日本におけるキングオブ芸能人はSMAPというのが一旦の結論である。


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■惜しかったスターは3人

3条件すべて達成となるとSMAPだけだが、他にもかなり惜しかったスターはいる。

<山口百恵>

△音楽:横須賀ストーリー(66万枚)

◯視聴率:赤い疑惑(30.9%)

◯書籍:蒼い時(198万部)


<武田鉄矢(海援隊)>

△音楽:贈る言葉(95万枚)

◯視聴率:3年B組金八先生(39.9%)

◯書籍:お~い竜馬(原作者・累計1500万部)


<浜田雅功>

◯音楽:WOW WAR TONIGHT(213万枚)

△視聴率:明日があるさ(29.0%)

△書籍:読め!(90万部)

この3人は3分野でそれぞれ高い実績を挙げている。山口百恵も武田鉄矢もレコード協会発表ではミリオン達成者だが、今回はオリコンを基準としたので残念ながら未達成。

浜田雅功については個人としても達成に極めて近いが、相方の松本人志が書籍「遺書」でミリオン達成しており、ダウンタウン2人合わせれば更に惜しかった。


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■2分野での達成はこの5人

<福山雅治>

◯音楽:桜坂(230万枚)

◯視聴率:一つ屋根の下(37.8%)


<有吉弘行(猿岩石)>

◯音楽:白い雲のように(113万枚)

◯書籍:猿岩石日記(250万部)


<藤谷美和子>

◯音楽:愛が生まれた日(133万枚)

◯視聴率:心はいつもラムネ色(48.6%)


<いしだあゆみ>

◯音楽:ブルー・ライト・ヨコハマ(100万枚)

◯視聴率:青春家族(44.2%)



<松任谷由実>

◯音楽:真夏の夜の夢(143万枚)

◯書籍:ルージュの伝言(150万部)



この5人は2分野では文句無しの達成だが、残りの1分野で達成に近づいた作品が無かった。とくに書籍が難しい。尚、オリコン集計開始前なので参考記録だが、以下の2人も2分野で達成している。

<水前寺清子>

◯音楽:いっぽんどっこの唄(100万枚)

◯視聴率:ありがとう(56.3%)


<石原裕次郎>

◯音楽:銀座の恋の物語(335万枚)

◯視聴率:太陽にほえろ!(40.0%)


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■今後はさらに達成がむずかしくなる?

その他、意外なのは本業が歌手である和田アキ子郷ひろみは書籍のみの達成(和田アキ子だ文句あっか!、ダディ)、中森明菜はドラマ視聴率のみ(素顔のままで)の達成であること。

他方、芸人のとんねるずはCDのみ(ガラガラヘビがやってくる)の達成なのが面白い(ただし「みなさんのおかげです」最高視聴率は、30%に限りなく近い29.5%)。

田原俊彦小泉今日子長渕剛篠原涼子今井美樹なども各分野高い実績を挙げているが、3条件クリアには至らず。なかなか難しい。

CDは売れない時代となって久しく、テレビの平均視聴率は低下傾向、出版不況で書籍販売も低調という現代。これから更に達成が難しくなっていくかもしれない。

しかし、2010年代になってもブームとなったものは各条件を超えているし、ここで名前が挙がったのはみんな大スターばかり。これからも達成者が出てくることを期待したい。

(文/前川ヤスタカ

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