正義VS正義!?仮面ライダー敵キャラの魅力を徹底解剖【出口博之のロック特撮】
こんにちは、モノブライトのベース、出口です。先日、 10月に放送が終了した仮面ライダードライブで敵幹部ブレンを演じられた、松島庄汰さんと対談をさせていただきました。
松島さんが演じられたブレンというキャラクターは、ギャグからシリアスまで幅広く存在感を示し、脚本家が当初のストーリーを変えてしまったほど、とても魅力的な敵キャラクターです。
平成仮面ライダーシリーズの魅力は、正義側である仮面ライダーが自分の存在意義に悩み、敵側にも悪と言い切れない事情がある…そんな重厚なストーリーにあります。
そのため、様々なタイプの魅力的な敵キャラクターが多く存在します。今回は、そんな「敵キャラの魅力」に迫りました。
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■どんな敵と戦ったのか
平成仮面ライダーシリーズは、2000年から始まった仮面ライダークウガから現在放送している仮面ライダーゴーストまで、17作品。一体どんな敵が登場したのか、2つのタイプに分けてまとめてみました。
人間ではない別種族タイプの大きな特徴は、「種の保存、繁栄」や「元々住んでいた場所を追われた」など、一方的に断罪する訳にはいかない理由を持ち合わせていることです。
もちろん、仮面ライダーに倒される運命に変わりはありませんが、悪というよりは、仮面ライダー(広く言うと人類)の正義に対して、もうひとつの正義の対立構造と言えるでしょう。
人間由来(人間、あるいは人間の精神から生まれたもの、人間の進化系など)タイプの特徴は、人間の欲望や負の感情、選民思想によって形成されているので、世界征服を企む悪者に近い印象が強く残ります。
しかし、限りなく人間に近い行動原理を持っているので、人間側である仮面ライダーとの対比として、同等もしくは、それ以上の存在として描かれる場合が多いです。
「仮面ライダー555」のオルフェノクや「仮面ライダーW」のドーパント、「仮面ライダーフォーゼ」のゾディアーツなど、魅力的な敵キャラクターが多く生まれました。
ただし、「仮面ライダークウガ」に登場するグロンギだけは、完全なる悪と言っても良いでしょう。彼らはゲームとして人間を殺しています。
厳密には快楽殺人ではなく、グロンギにも人間を殺すゲームを行う理由はありますが、情状酌量の余地はありません。倒されて当然です。
・人間ではない別種族タイプの例
仮面ライダークウガに登場する「グロンギ」
画像出典:Amazon
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■敵は何を考えて仮面ライダーと戦うのか
シリーズの敵でとくに人気が高いのは人間由来タイプである「仮面ライダー555」のオルフェノク、そして「仮面ライダードライブ」のロイミュードでしょう。
元人間であるオルフェノクと、人間を模して作られた機械生命体ロイミュードの根底には
・ 人間に対する憧れ
・ 人間に対する憎悪、選民思想
そういったものが複雑に絡み合っています。相反する感情を持っているので、仮面ライダーたちが直面する、「戦う意味に悩む」、「自分の存在意義に疑問を持つ」、といった心の葛藤や揺らぎが描かれます。
その流れから敵と仮面ライダーが共闘する、敵が仮面ライダーになる、といった展開は、敵ながら非常にヒーロー然として描かれるのです。これがこの2作品の高い人気の要因になっています。
・人間由来タイプの例仮面ライダー555に登場する「オルフェノク」
画像出典:Amazon
特撮番組の主役はもちろんヒーローですが、ヒーローと対になる敵も主役の1人。敵が、人間や仮面ライダーと違う思想や美学を貫いているからこそ、平成仮面ライダーシリーズはかくも奥深い作品になっているのです。
ときに凶悪に、ときにヒロイックに描かれる敵の魅力に注目してみてください。
ちなみに、松島さんとの対談の模様はこちらで公開されています。
仮面ライダードライブの撮影秘話やお芝居のこと、役者として今後の目標など、大ボリュームの内容になっているので、ぜひハンカチを握りしめながらご一読頂けたら幸いです。
(文/モノブライト・出口博之)