殺人行為にも匹敵する!?アルコールハラスメントの実態
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毎年のように起こる大学生の飲酒による死亡事故。アルコールなど依存性薬物問題の予防に取り組むNPO法人ASKによると、2013年は5人、2014年は4人が急性アルコール中毒及び飲酒による転落などが原因で死亡した。若い世代の飲み会では一気飲みを促す場面も少なくないようだが、実際どのくらいの人が「一気飲みの強要」を経験しているのだろうか? 調査の結果はこちら。
【質問1】飲み会で一気飲みを促され、断れずに受け入れたことがある?
やはり、女性よりも縦社会を重視する傾向のある男性の経験者が多い。年代別では社会人経験が長い50代の男性がトップとなり、社会人経験の浅い20~30代の男性はそれよりも少ない結果となった。多くの男性が、社会人になってから一気飲みの強要を経験している可能性も伺える。
さらに、年収別での回答は以下のとおりだ。
【年収別】飲み会で一気飲みを促され、断れずに受け入れたことがある?
年収500万円以上の経験者が多く、出世している人は、飲み会でも空気を読み周囲の期待に応える傾向があるのかもしれない。
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ビジネスシーンでも日常生活においても、“空気を読む”ことが重要だと考える人は多い。しかし、一気飲みを強要することは、アルコールハラスメントという殺人行為にも匹敵する人権侵害だと認識しておく必要がある。
「アルハラ防止キャンペーン」を提唱するASKでは、アルコールハラスメントの定義5項目を以下のように定めている。
① 飲酒の強要
上下関係・部の伝統・集団によるはやしたて・罰ゲームなどといった形で心理的な圧力をかけ、飲まざるをえない状況に追い込むこと。
② イッキ飲ませ
場を盛り上げるために、イッキ飲みや早飲み競争などをさせること。「イッキ飲み」とは一息で飲み干すこと、早飲みも「イッキ」と同じ。
③ 意図的な酔いつぶし
酔いつぶすことを意図して飲み会を行なうことで、傷害行為にもあたる。ひどいケースでは吐くための袋やバケツ、「つぶれ部屋」を用意していることもある。
④ 飲めない人への配慮を欠くこと
本人の体質や意向を無視して飲酒をすすめる、宴会に酒類以外の飲み物を用意しない、飲めないことをからかったり侮辱する、など。
⑤ 酔ったうえでの迷惑行為
酔ってからむこと、悪ふざけ、暴言・暴力、セクハラ、その他のひんしゅく行為。
※特定非営利活動法人アスクの公式HP参照(http://www.ask.or.jp/ikkialhara_teigi.html)
飲み会の目的は交流や接待をはじめさまざまだが、アルハラを根絶させるには、各自が侵害行為を起こさない意識をもち、強要にはハッキリ「No」と言える強い意志が必要だ。
(文/しらべぇ編集部・小林香織)
【調査概要】 方法:インターネットリサーチ「Qzoo」
調査期間:2015年10月23日~2015年10月26日
対象:全国20代~60代の男女計1,381名