ビールもご飯もない!2種類の貝だけ食べる屋台がタイで人気
バンコクにはヤワラーと呼ばれる中華街がある。100年以上前に中国大陸からタイへと渡った華人たちが、差別を受けながらも形成していったバンコク随一の中華街だ。
バンコクの中華街には純然たる中華料理屋もあるが、タイ料理とミックスした中華系タイ料理店もある。タイ料理と中華料理という世界的に人気の料理ジャンルがコラボしているのだ。観光客だけではなく在住者をも唸らせる“食”の宝庫であることは分かっていただけるだろう。
ビールもない?ご飯もない?
夜になると観光客でごった返すヤワラーで一風変わった屋台を発見した。客席は数席。小さな屋台の周囲は空席を待つ客で囲まれ、覗き込まないと様子をうかがえないほどだ。
ここの屋台で提供されているのは、貝。しかもたった2種類の貝だけ! ご飯もなく、ビールもない。ひたすら2種類の貝だけを食わせる屋台なのだ。
カウンター席へ座ると、堆く積み上げられた貝が! これほどの貝を目の当たりにすると威圧感すら感じさせる。これを眺めながら食事が楽しめるとは素敵な屋台だ。さて、この屋台にある2種類の貝とはこちら。
ホイクレーン
タイのシーフード料理店ではよく見かける赤貝の一種。一般的には茹でて自然に開いたものを提供しているが、この屋台では店主自身が自ら、1つ1つ手で開いたものを出してくれる。貝を専門としているだけあり茹で加減が抜群で、身はプリプリ!
ホイメンプー
ムール貝に似ている、こちらもシーフード料理店では珍しくない貝だ。殻に比べると身は小さいが、ぷちグロテスク感があるホイクレーンよりも容姿的にとっつきやすいかも。どちらの貝も、一皿にこんもりと盛られて100バーツ(約350円)。
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積み上げられた貝はなんと30キロ!
ひっきりなしに来店する客に対応するため、店主は貝を茹で、ずっと黙々と貝を開き続けている。若くてハンサムな男性、彼の名前はゴンさん。
「オープンして40年になります」
創業者は彼のお母さんで、いまはゴンさんが跡を継いでいるという。お母さんいまでも現役! 屋台の脇でお客さんの対応をしている姿が見られ、常連さんの中には彼女に会いに来ている方もいるようだ。
「積まれた貝の重さですか? 30キロありますよ」
目の前にてんこ盛りに盛られたホイクレーンは30キロもあったのか! これが1日ですべて売り切れるという。ゴンさんは毎日30キロものホイクレーンを開き続けているわけだ。
ビールもなければご飯もなく、ひたすら貝だけを食べ続ける。そんな機会はこの屋台に訪れていなければ一生なかったかも。
【SHOP DATA】
「パーチン ホイクレーン ルアック」
TEL:081-795-1839
OPEN:19:00-1:00(月曜日休み)
MAP:https://www.google.com/maps/d/viewer?mid=z1Z9U_DlacSo.kO-9nsgUuhH4&usp=sharing
(取材・文/しらべぇ海外支部・西尾康晴)