【これが正解】「足を踏まれたら?」「絡まれたら?」電車トラブルの最適な対処法を弁護士が解説
「ふざけるな!」と大声で罵り合いながら、他人同士が争っている…そんな光景を電車内やホームで目にしたことがある人も少なくないだろう。大勢の人が接触する場所では、他人同士のケンカが日常茶飯事だという。
しらべぇ編集部では、「見知らぬ他人とケンカをしたことがある人」の割合を調査。 さらに、もっとも事件が起こりやすいであろう電車内や駅でのトラブルへの対処法を弁護士に解説してもらった。
これは決して少ない数値ではないだろう。できるだけ、混雑する電車内などで他人との揉め事を避けるためにはどうするべきかを、アディーレ法律事務所の鈴木淳也弁護士に伺った。
故意に足を踏まれたり、暴言を吐かれたりした場合の最適な対処法は?
まず第一に、そのような行為をされたとしても、相手にせずその場を立ち去ってください。暴言も内容によりますが、侮辱罪にならずに民事上も慰謝料請求が認められないことがあります。それに応戦するのは得策とはいえません。
もし離れることが難しい場合は、周囲に助けを求めるか110番通報して犯罪事実を伝える必要がありますので、みずからでするかまたは周囲にお願いしてください。鉄道会社への連絡でも構いませんが、連絡先を調べている時間を考えると110番通報してしまうのが早いです。
また、相手が酔っていた場合は理性が低下していますし、そうでなくとも電車内において大声で話すなど、公共のマナーが悪い人たちは社会常識が通用しないこともありますので、トラブルに巻き込まれる可能性は高くなります。そのような人たちのそばに近付かないことが、ひとつの予防策です。
関連記事:1000人が選んだ「チーズ料理」ランキング!1位に輝いたのは…
故意に足を踏まれて、相手の足を踏み返してしまったら罪になる?
足を踏まれるとカッとなって踏み返したくなりますが、踏み返してしまえば暴行罪にあたります。それが正当防衛になる可能性は低いです。
正当防衛が成立するためには、急迫不正の侵害であることが条件。つまり、侵害が現に存在しているか、または間近に押し迫っている必要があります。
足を一度踏まれただけでは急迫性は認められず、単なる喧嘩闘争として、各自が暴行罪ないしは傷害罪という罪を犯した責任を負うことになります。
関連記事:オジさんの方がレディーファースト身についてるって本当!?
「殺すぞ」などの暴言を吐かれたり、殴るなどの暴力を振られ身の危険を感じた場合の抵抗や相手の写真を撮影する行為、音声を録音する行為は正当防衛になる?
そのようなときは急迫性が認められるので、暴言・暴力行為から免れるためにやむを得ずした抵抗であれば、正当防衛が成立し罪に問われることはないでしょう。
また、加害者の写真や動画の撮影については、肖像権侵害とならないかが問題です。証拠目的であれば、違法性がないとして肖像権侵害による損害賠償義務は負いません。
ただし、おもしろ半分でSNS等にアップする行為は、肖像権侵害となります。口論になった状況を証拠とするために録音する行為も、とくに問題ありません。
関連記事:殺人行為にも匹敵する!?アルコールハラスメントの実態
暴行事件が目の前で繰り広げられていたら、どうするべき?
状況にもよりますが、周囲に成人男性が複数いて協力して止めに入れる状況なのであれば、止めに入るべきでしょう。それが難しい状況なのであれば、やはり110番通報が先決。
また、自身の目撃証言は重要な証拠となりますので、時間が許すのであれば、あとに駆けつけてきた駅員または鉄道警察隊に同行するなり連絡先を伝えるなどして、証言に協力してあげてください。
最初に手を出してきたのは相手側であっても、やり返してしまえば自分も罪になる。予防意識の重要性とともに、事件に発展しそうなときは“110番通報が第一”と覚えておいてほしい。
(文/しらべぇ編集部・小林香織)
取材協力:弁護士法人アディーレ法律事務所
公式HP:http://www.adire-bengo.jp/
~鈴木淳也弁護士プロフィール~
札幌弁護士会所属/弁護士法人アディーレ法律事務所所属。
大学時代には山に登って地質調査をするなど、地球温暖化システムについての研究をしていた。しかし将来について迷っていた時に「困っている人を助けなさい。自分が本当にやりたいことはそれでよいのですか?」という夢を見たことから、決まっていた就職を辞退し、司法試験を目指すことに。
現在は全国に2名しかいない、気象予報士の資格を持つ理系弁護士として、困っている人に寄り添う弁護活動を行う傍ら、お天気情報をブログで発信している。
http://ameblo.jp/suzuki-junya/
また「ハンゲキ」(フジテレビ)では詐欺師を追い詰めるクールな弁護士として出演。さらに「5時に夢中」(TOKYO MX)にレギュラー出演するなど幅広いメディアで活躍中。
【調査概要】 方法:インターネットリサーチ「Qzoo」
調査期間:2015年11月20日~2015年11月24日
対象:全国20〜60代の男女1,381名