飲食店の「出禁」どこまで許される?弁護士に聞いてみた

2016/02/02 07:30


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「食べ放題の店で食いすぎたら出禁にされた!」「店にそぐわないから入店を断られた!」などの話を、ちょくちょくネットで見かけることがある。

記者は幸いなことに飲食店を出入り禁止になったことは一回もないが、果たして飲食店が行う「出禁」は、いったいどこまで合法なのだろうか?

気になったのでいままでに見かけた出禁の事例を、レイ法律事務所に所属する松田有加弁護士に聞いてみることにした。



 

①顔が気に入らないから出入り禁止 → NG

「侮辱罪にあたるおそれがあります。たとえばお客さんに直接『顔が不細工だ』と言った場合や、店の前に『イケメン・美女以外お断り』などという看板を出して入り口で店員が門前払いするというような場合です」


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②女連れが気に入らないから出入り禁止 → NG

「女性に対する合理的な理由のない差別として損害賠償の対象になる可能性があります。性別を理由として差別してはならないことは憲法にも明示されているところですから、注意が必要です」


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③体臭がスゴいので出入り禁止 → OK

「料理は匂いも楽しむものですから、体臭がスゴい人を店に入れてしまうと、料理の匂いが分からなくなってしまいますよね。食事中にスゴい体臭が臭ってくることを想像しただけで食欲が減退してしまいそうです。


そのため、体臭がスゴイ人を出禁にすることには、合理的理由があるとして適法であるとされる可能性があります。ただ、体臭のスゴさのレベルにもよります。


店内に体臭が充満して料理の匂いが分からないレベルであれば、出禁は許される可能性が高いといえます。個室の場合には、他のお客さんに迷惑をかけることがないため、体臭のスゴい人を追い出してしまうと、違法とされる可能性があります」


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④食い逃げしそうなので出入り禁止 → NG

「過去に食い逃げしたことのある人を出禁にすることは、店の利益を守るという理由があるので、許されるでしょう。


しかし、服装や見た目から『食い逃げしそうだな』と判断して、お客さんにそれを告げて入店を断ってしまうと、①と同じく、侮辱罪にあたる可能性があります」


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⑤阪神ファンの店で巨人ファン出入り禁止 → OK

「阪神ファン、巨人ファンは、お互い各球団についての熱い思いを持っていますが、ときにそれが喧嘩などに発展することも考えられます。


そのため、店側による出禁には、ファン間での争いを防止するという合理的理由があり適法とされると考えられます」


⑥ラブライバーの店でアイマスファン出入り禁止 → OK

「これも⑤と同じような問題ですね。ラブライバーの店にアイマスファンの入店を許した場合にどれだけ熱い戦いが繰り広げられることになるかについては分かりかねるところですが…。


しかし、店の営業が困難になる程の争いが生じると予想できる場合などには合理的な理由のあるものとして、適法になる可能性が高いといえるでしょう」


⑦居酒屋でドリンク頼まない客出入り禁止 → OK

「この居酒屋による出禁については、ドリンクを頼んでもらってその分の営業利益を挙げるという目的があります。


お客さんとしてはドリンクを頼めば済む話ですから、お客さんにも過大な負担を求めることにはならないでしょう。そのため、この出禁には、合理的な理由があり適法とされる可能性が高いと考えられます」


⑧外国語が分からないので外国人出入り禁止 → NG

「違法になる可能性があります。飲食店ではないですが、旅館が外国人の宿泊を断るという差別的取扱いをすることには合理的理由がないとされ、法務局の人権擁護機関から説示という措置をとられています。


そのため、外国語が分からないので外国人を出禁にする飲食店の行為も、合理的理由がないとされる可能性が高いと考えられます。憲法14条では、人種を理由とする差別を明示的に禁止していますから、外国人を出禁にすることは違法とされる可能性はかなり高いでしょう」


⑨同業者出入り禁止 → OK

「許される可能が高いと考えられます。どのような内装で、どのような味の料理を、どのように出しているかなどを同業者に知られないという店側の利益を守るために、同業者が視察のために店内に入ることを禁止するということには合理的な理由があると考えられるためです」


⑩食べ放題の店で柔道部や相撲部は食べすぎるので出入り禁止 → OK

「食べ放題は店が黒字になるシステムで料金設定がされているのですが、食べ盛りの柔道部や相撲部の部員に頻繁に来られてしまうと、店の経営が立ち行かなくなってしまいますよね。


そのため、店の営業の利益を守るという合理的理由があり適法とされる可能性が高いでしょう。また、全面的に出禁にするのではなく、柔道部や相撲部に対しては週1回のみ食べ放題を解禁して、『大食いデー』などを設ける対応をすれば、より出禁が適法とされる可能性は高くなります」


⑪狭い店で太った客出入り禁止 → 場合によりOK

「狭さのレベルにもよりますね。たとえば、四畳半のお店だとしたら、太ったお客さんを入れることによって他のお客さんが入れなくなってしまいます。


このような場合には、合理的な理由があり、違法でないとされる可能性があります。しかし、そこまで狭い店内でなければ、合理的な理由は認められにくいでしょうね」


⑫女性向けの店なので男性出入り禁止 → 場合によりOK

「難しい問題ですが、たとえば、プリクラを設置するアミューズメントストアが、男性の女性客に対する痴漢や盗撮を防ぐために男性のみの入店を禁止することはよくあることですね。


飲食店はアミューズメントストアよりも盗撮などが行われる危険性は少ないかもしれませんが、それでもなお、これらの犯罪行為を防止するという目的は合理的といえ、適法とされる可能性はあると考えられます」


⑬ラーメン屋でチャーハンしか頼まない客出入り禁止 → OK

「これも⑦と同じような話になります。お客さんはチャーハン以外のものを頼めば済む話ですから、ラーメン屋は営業利益を守るためにチャーハンしか頼まない客を出禁にすることを許されると考えられます」


⑭とんこつラーメン屋で先に高菜を食べちゃった客出入り禁止 → OK

「高菜を先に食べてはいけないというルールを設けることによって、⑦や⑬の場合のように、店側に営業利益があがるというわけではありません。


しかし、お客さんがとんこつラーメンを食べた後に高菜を食べればいいだけですから、店側の要求を守ったとしてもお客さんの負担は大きくありません。そのため、出禁には合理的な理由があり、適法であると考えられます」


⑮年収1,000万以上向けの店なので一般国民出入り禁止 → NG

「店側としては、ハイクオリティな店のブランドを守るという利益を守るためにこのような出禁をするのだと考えられますが、一般国民は、社会的身分である職業と密接な関係がある収入に基づいて入店を拒否されているということになります。


社会的身分に基づいて差別されないということは憲法14条に直接規定されていることですから、収入に基いて出禁にすることは合理的な理由がないとされ、民事上の損害賠償を請求される可能性があります」


松田弁護士の話を聞くかぎり、差別目的や憲法違反といった内容で出禁にしない限り、わりとお店側に裁量がありそうだ。

確かに大食いの店で材料が切れるぐらい食べられたりしたら潰れてしまうので、経営者が自分の店を守るための行為で出禁にするのは当然のことといえるだろう。

最近は居酒屋で水と料理だけ食べて帰る若者が増えているというが、法的には出禁になっても仕方のない行為のようである。

(取材・文/しらべぇ編集部・雨間ゆうすけ

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