病院送り続出…東証上場企業に潜む『ブラック部署』の恐怖
ブラック企業への世間の視線が厳しくなっている。先月上旬、テレビ東京系『ガイアの夜明け』がアリさんマークの引っ越し社の過重労働に密着した際は、大きな反響を呼んだ。
昔、大手外食チェーン・ワタミが社員の過労自殺で批判を受け、業績が悪化した例もあるように、「ブラックかどうか」は企業イメージに大きな影響を与える。そのため、社内環境を改善し、脱ブラックをはかろうとしている会社も多い。
■部署単位ではブラックになりがち
しかし、今までブラックだった企業がそう簡単にホワイトに変われるものではない。また部署によっては、事業拡大の一方で人員がどうしても足りず、働く人が困窮しているところもあるようだ。
アンケートサイト「マインドソナー」を用いて調査を行ったところ、「他の部署より明らかに忙しかったり、責任が重かったりする『ブラック部署』が社内にある」と答えたのは全体の23.9%。
ノウハウやスキルなどを考えると、社内での配置転換はそう簡単ではない。その結果、他部署に比べて忙しい部署や、責任の重い部署が生まれがちなのかも。
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■東証上場企業であったブラック部署話2選
①まるで赤紙…病院送りになるまで働く部署
「これは私が以前いたソーシャルゲーム会社の話なのですが、某大人気マンガがゲーム化され、担当することになったチームの話です。他のチームに比べて人数が少なかった訳では決してなかったのですが、いかんせん業務量が膨大で、メンバーがひとりまたひとりと脱落。病院に入院する人が出たと思えば、新卒社員が過労で起きれなくなり、午後のみの時短勤務を経て労災申請。
しかし、更新系のアプリは停止できないので、他チームから移動させられて、その人もまた過労で体調を崩す。『あの部署へ行け』って辞令は病院送りを意味する、いわば赤紙と同じですね」(20代・男性)
②「わからないことは聞くな」が合言葉の激務部署
「私が以前いた制作会社では、テレビ局担当の部署が激務中の激務。上司や教育係の3年目社員もみんな自分のことで手いっぱいなので『わからないことは聞くな』と言われていました。新卒のOJT期間に、です。
結果的に自分で調べる能力はつきましたが、専門的な知識を自分で調べるだけに、とにかく時間がかかる。会社の情報は持ち出し禁止だけど、こっそりGmailで家のパソコンに資料を送って、土日で作ってました。
これだけ働いても手取り20万なんですから、会社の上層部がぶんどってるか、それとも稼ぐのが下手な会社なのか…。転職の時は、『お金を作るのがうまい会社かどうか』も気にしましたね」(20代・女性)
驚くことに、どちらも東証一部上場企業の話だそうだ。オフィスも立派な一等地にあり、企業HPを見るかぎりでは、そんな恐ろしい働き方をするとは想像できない。
春からの新生活に希望を抱く大学4年生には嫌な話かもしれないが、優良企業とされる会社でも、結局は配置される部署次第。潰されないように、せめてでも今から体作りなどを行ってみるのがいいのかもしれない。
(取材・文/しらべえ編集部・岡本拓)