28年前のファミコンソフト『アメリカ大統領選挙』が危険すぎる
アメリカ大統領選挙は、世界の関心事である。テレビのニュース番組をチェックしている限り、共和党と民主党それぞれの有力候補者が誰かということくらいはすぐに覚えられる。
何しろ世界最大国家の動向だ。その影響力は地球規模のものである。そんなアメリカ大統領選、かつてファミコンソフトになっていたということをご存知だろうか?
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■妥協のない作り込み
ヘクトというゲーム制作会社が1988年に発売したそのソフトのタイトルは、『アメリカ大統領選挙』。これは共和党と民主党、いずれかの候補を選び政党予備選挙から大統領へ上り詰めることだけを目的にしたゲームだ。
だがこのソフト、ファミコンのスペックを大統領選挙のシステムにすべて叩き込んだだけあって、かなりマニアックな仕上がりになっている。
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■「人権侵害」もコマンドに!
まずこのゲームを進めるために、数ある政策から自分が主張するものを3つ選択する必要がある。たとえば「環境問題」という項目の中には「原子力発電」、「銃砲所持の規制」、「大気汚染防止法」など。
ちなみにこのソフトが発売されたのは1988年だから、「エイズ患者の隔離」という人権侵害甚だしい政策も選択可能だ。
その一方で「教育モラル問題」という項目もあり、これには「キリスト教的モラルの復活」、「公立学校での礼拝の義務」など、アメリカのプロテスタント教会の支持を取り付けるための政策も用意されている。
もう一度言うが、これはファミコンソフトである。8ビットの中でよくこれだけ大統領選挙を再現したものだ。
■当時の情勢を反映
興味深いのは「対日本問題」という項目。この当時は日米貿易摩擦が取り沙汰されていた時代で、「日本車の輸入規制」、「日本製品のダンピング制裁」、「商業捕鯨の禁止」という政策もある。
それらの対日強硬策を主張すると、支持率が跳ね上がるというから大した出来栄えだ。
そしてこの時代は、まだ冷戦時代だった。ソビエト連邦が存在し、ニカラグア反政府組織が活動し、南アフリカのアパルトヘイトが問題視されていた。それらにどのような態度を示すかという選択肢も、このゲームにはある。
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■2016年版を希望!
以上、隠れた名作ソフト『アメリカ大統領選挙』を簡単に紹介したが、今考えるとこのソフトはプレイする人が限られるのではと感じてしまう。少なくとも、子供がドラクエシリーズの感覚でプレイできるものではないだろう。
だが、スマートフォンが普及した現代ならこうしたゲームはヒットするかもしれない。『アメリカ大統領選挙2016』というゲームアプリを、これからどこかの会社がリリースしても不思議ではない。
(文/しらべぇ編集部・澤田真一)