「6月に祝日を」「もう増やすな」利害対立で国民にらみ合い
6月のカレンダーはスッキリして見える。祝日が1日も見当たらない。
梅雨の時期と重なることも相まって、恨めしい気持ちを抱えている人も多そうだ。 次の祝日は、7月18日の「海の日」である。
■「年間9日」だった祝日
祝日は、1948(昭和23)年に公布・施行された「国民の祝日に関する法律(祝日法)」によって国が定めているもの。
当初の祝日数は年間9日のみで、6月のほか、2月と7月、8月、10月、12月も祝日の空白月だった。
■祝日の空白「6月」のみに
1973(昭和48)年には、祝日と日曜が重なった場合、翌月曜を休日とする「振替休日」制度を新設。1985(昭和60)年には、飛び石連休の解消などを目的に「国民の休日」制度も定めた。
現在の祝日数は、今年8月にデビューする「山の日」を入れて年間16日。「祝日」「休日」は、祝日法の施行から70年ほどの間に大きく数を増やしたことがわかる。
なお「山の日」のお目見えで、残る空白月は6月だけになっている。
■「6月の祝日」を望むのは?
しらべぇ編集部の調査によると、「6月にも祝日を新設してほしい」という人の割合は37.9%。年代別では、働き盛りの40代で45.4%とピークを示すが、前後では数値が低くなる。
■職業別では利害が対立?
さらに調査を進めて職業別では、公務員(55.3%)や会社員(47.8%)など一定の曜日に働く人が多い職業で新設を望む声が大きい。
自営業(25.0%)や自由業(27.3%)、家事労働に携わる専業主婦(32.8%、専業主夫含む)など「勤務曜日が一定でない」「ハッキリしない」ことで「職場もろとも一斉に休むメリット」を享受しにくい職業を持つ人は、新設をあまり歓迎していないようだ。
メリットを享受しにくい職業では、「祝日が増えても忙しくなるだけ」という事情があるのかもしれない。「経営者がもうかっても、給与増など自らへの還元は未知数」といった背景は見逃せないところだ。
中には、「祝日が増えると、客足が落ちて売上減につながる」という人もあるだろう。
■「有休があるじゃない!」
利害が対立する状況では、「6月の祝日」は当分、実現しないかもしれない。給与所得者には「有給休暇」の制度もあるから、休みたい人は活用して休日を増やすのも方法のひとつ。
とはいえ、先進国では最低レベルとされる「有給休暇取得率の低さ」が、祝日の新設・増加につながってきた経緯もある。 制度はあっても、職場に「自分だけ休めない」というムードがはびこっているとすれば、悩ましいところである。
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(取材・文/しらべぇ編集部・前田昌宏)
【調査概要】 方法:インターネットリサーチ「Qzoo」
調査期間:2016年4月22日~2016年4月25日
対象:全国20代~60代の男女1365名(有効回答数)