東京のタクシー、短距離の初乗り値下げへ 乗車拒否増の懸念も
東京都23区内と武蔵野市・三鷹市の営業区域で、タクシーの初乗り運賃が約1キロ・410円程度になる見通しとなった。現在の初乗り料金は2キロで730円。早ければ年末にも料金改定となる。
■初乗り距離の見直しで
「短い距離でも気軽に乗ってもらえるように」と、初乗り運賃が適用される距離についても見直しを行う。現行の適用距離は2キロ。改定後は約1キロになりそう。悪天候時や荷物の多いときなどに、「ちょっとそこまで」といった需要にマッチした見直し内容といえそうだ。
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■子育て世代から歓迎の声
地価が高い首都圏の子育て世代。家も買って車も所有するとかなり大変。そこでタクシー初乗り410円は味方になりそうだね。赤ちゃう抱えながらそこまで買い物、重い荷物も楽チン。23区内徒歩圏内で持ち家、車所有だと世帯年収1000万円でも余裕のある生活にはならない。
— どろん (@dorondoron333) June 4, 2016
見直しが行われる地域では、マイカーの所有がコスト面で重荷になるケースがよくある。「初乗り」システムの見直しはおおむね歓迎されているようだ。
子ども連れの場合など、最寄り駅へ歩かずに済むなど重宝するのではないだろうか。
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■まさかの乗車拒否、懸念は?
新宿でタクシーの乗車拒否10台以上!
手を挙げててもスルーしよる。東京は今もバブル期なのか?
こんなんでオリンピック大丈夫なの……。
スルーしたタクシーが信号待ちしてるところを無理やり窓叩いて文句言って乗り込んでやったわ!— masanyan (@MasanyanAndroid) June 3, 2016
一方、乗務員のほうには複雑なものがあるかもしれない。ターミナル駅などのタクシー乗り場では、多数のタクシーが客待ちをしている。30分や1時間待つことも、ざらではないという。
ときには、「ワンメーター」の利用客に対して「はずれを引いた」という気持ちになるのだろうか。乗車拒否を行うケースもままあるとされる。
一部の駅のように近距離利用者専用乗り場が設けられたタクシー乗り場でも、目的地が近すぎることを理由に乗車拒否された事例を聞く。初乗り運賃が安くなることで、状況の悪化を懸念する声もある。
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■現役乗務員に聞いてみた
地元(島根県)のタクシー乗務員は、「初乗り」システムの変更が全国的に広まったとしても「この町では大きく変わらないだろう」と話す。
その上で、「初乗り料金や距離がどうであれ、頻繁にタクシーを利用する人は、自家用車を持つこととタクシーを利用することのコストを天秤にかけた結果、タクシーを利用している」と続け、「運賃がどうであれ、利用しない人にとって、今後もタクシーが『高い』乗り物であることには変わりない。公共交通が充実している首都圏ではなおさらだろう」と分析する。
「ワンメーター」の利用が増えそうなことについては、「遊んでるよりいい。サービス業である以上、お客様のえり好みはするべきではない」 と明確だった。
国内に24万台(2013年3月「国土交通省」調べ)以上が走るタクシー乗務員の大半が、同じ思いでハンドルを握っていると願いたい。
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(取材・文/しらべぇ編集部・上泉純)