元レスラーが損害賠償請求!プロレス存亡の危機を叫ぶ声も

2016/07/25 06:30

viafilms/iStock/Thinkstock
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元所属選手約50人がアメリカプロレス団体大手「WWE」を相手取り、「脳障害のリスクを隠し試合をさせ、選手の健康や安全を犠牲にして企業利益を得た」として損害賠償を求める訴訟を起こしていることが判明した。



 

■引退後、頭痛やめまいに悩まされる

今回訴訟を起こしたレスラーのなかには、かつて全日本プロレスで活躍した『スーパーフライ』ジミー・スヌーカやロード・ウォリアーズで一世を風靡したアニマル・ウォーリアーなど、日本人にも馴染みのある名前が含まれている。

いずれのレスラーたちも引退後頭痛やめまい、記憶障害などを発症し苦しい毎日を送っていると主張。その責任はレスラーにそのようなリスクを説明しなかった団体側にあるとして訴訟に踏み切った。


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■プロレス存亡の危機との声も

裁判に発展した場合、判決によっては日本マット界にも影響するかもしれない。

現在地上波のテレビ中継減少でプロレスに興味をもつ若者が減っており、人気も低下傾向。しらべぇ編集部の調査でも、20代はテレビや会場でみたことがある割合が1割にとどまっていることが判明している。

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今後「プロレスは脳障害になるリスクが高い」という認識が定着した場合、レスラーを志す若者がさらに減ってしまう可能性が高く、未来のスターがいなくなってしまう。

このような状況は「プロレス存亡の危機」といえるのではないだろうか。


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■レスラーのセカンドキャリアは以前から課題に

プロレスラーのセカンドキャリアは、前々からプロレス界の課題となっている。天龍源一郎や長州力ように華やかなタレントに転身する選手は稀で、ほとんどのレスラーが引退後ひっそりと別業種に転職しているケースがほとんど。

おもなキャリアとしては、全日四天王として活躍した川田利明や「ミスターデンジャー」松永光弘のように自ら調理場に立つ飲食店経営者、スポーツジムのインストラクター、接骨院経営、トレーナーなどがある。

しかし、いずれもかつて所属した団体からは離れており、OBとして丁重な扱いを受けているとは言いがたい。選手としてみれば、「俺が盛り上げて団体を設けさせたのに引退したら放り出されるのか」と恨みを持っても仕方がなく、改善が求められる状況だ。


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■プロレスファンに聞いてみた

プロレスファンに今回の件について聞いてみた。

「選手側とすれば自分が激しい試合で身体を酷使して儲けさせてやったのに、契約を切られたら後は『知らない』では納得できないという気持ちなのでは。WWEのような資金潤沢な団体なら、ある程度の保障するべきではないかと。


昔、有名所属レスラーが精神錯乱を起こして家族を殺したうえ自殺した事件があったのですが、その後もとくに引退選手へのケアをしていませんし、そのことはタブーとして封印されています。


儲かっているのに引退選手へのケアがまったくないことへの不満が爆発したのかもしれません。日本でも福田雅一選手や三沢光晴選手のように試合中に事故で亡くなる選手が出ていますが、何の対策も施されていません。レスラーは契約社員のようなものなので、切られた後は知らんぷり状態です。


今回の訴訟は、そのような選手の待遇に一石を投じるものだと思います」


今回の訴訟をきっかけに、団体側がセカンドキャリアを考えていく機運が高まることを期したい。

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(取材・文/しらべぇ編集部・佐藤 俊治

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【調査概要】
方法:インターネットリサーチ「Qzoo
調査期間:2016年2月19日~2016年2月22日
対象:全国20代~60代の男女1,348名(有効回答数)

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