食べログ炎上問題 当事者の飲食店オーナーが内情を語る
カカクコム社が運営するグルメ口コミサイト『食べログ』の評価スコアや広告営業にまつわる炎上問題。
食べログと契約していた飲食店オーナーによるSNS投稿がネット上で広く拡散し、しらべぇも昨日、その経緯やカカクコム社から編集部への公式回答について報じた。
グルメ口コミサイト『食べログ』がスコアをめぐって炎上 運営会社に背景を聞いた
さらに、取材班が取材に訪れた今回の飲食店『ウルトラチョップ』従業員からの連絡で、SNSに投稿したオーナーの高岳史典氏に電話取材することに成功。
昨日に続いて、今度は契約店サイドから見た疑問や課題について、見ていこう。
■3.2〜4.5の評価が16件で総合「3.27点」
高岳氏:飲食店を始めたときに食べログさんと契約しましたが、当時はユーザーレビューがしっかりしていなかったり、評価スコアがよくわからなかったので、一度契約を終了していました。
飲食店の間では、「食べログのスコアはもともと低めに出る」と言われていますが、うちの店も個別のレビュー点数は高いのに、総合スコアが低いのは不思議だな…と感じていました。
実際に、9月6日に評価がリセットされた(※編集部註:現在は「3.05」)ことに気づくまで、麻布十番の『ウルトラチョップ プリュ』のスコアは3.27だったと思います。
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■「検索数と直近コメントが足りない」と営業が
高岳氏:今年3月に、以前は代理店を通して契約していた食べログの営業から、直接連絡がありました。
彼に、個別レビューと総合点に大きな差が出るアルゴリズムについて質問したところ、「お店の検索数と直近のコメントが足りないことが総合点を引き下げているのではないか」とのこと。
「本来あるスコア、個別レビューの点数に近づけていきましょう」という目的を共有して、再契約することにしました。その進捗についても、細かくレビューしてもらう約束でした。
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■担当者変更で話が変わった
高岳氏:しかし、その後のレビューはまったく行われませんでした。直近のレビューは増えており、個別スコアも高いにもかかわらず、総合点と大きく差が開いた状況は変わりません。
疑問に感じて、8月に食べログ担当者に連絡したところ、前回と違う方から連絡がありました。前の担当者は退職したとのこと。
さらに「閲覧数も直近レビューも増えている」と言われましたが、もともと握った目的であった「個別レビューの点数に近づかないのはなぜか?」と聞くと、「アルゴリズムについてはわからない」との回答。
引き継ぎが、まったくされていなかったのです。アルゴリズムは、食べログさんが自由にやればいいと思いますが、不透明だし不思議に感じます。
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■プラットフォームの良心が問われる
高岳氏:食べログもアルゴリズムが不思議になる前は、ユーザーの評価が反映されていたはずで、素晴らしいシステムだと思います。
うちの店についてのレビューも、厳しいコメントほどよく読んで、改善に活かすようにしています。
しかし、食べログのような巨大プラットフォームに対して、個々の飲食店はなかなか抵抗できません。
たとえばGoogleが「Don’t be evil(邪悪になるな)」という社是を持っていたように、プラットフォーム業者の良心は、とても重要だと思います。
ユーザーのためになるサービスをすることで信頼が高まり、それがプラットフォームの収益につながってくるのではないでしょうか。
プラットフォーム業者がユーザーファーストで意識を変えるだけでなく、飲食店サイドが「脱・食べログ(等)」を模索することも重要だ。
今回の問題も、FacebookとTwitterによって明るみに出た。口コミサイトだけでなく、SNSなどさまざまなつながり方で飲食店とユーザーが絆をつくることが、食文化の未来を拡げるのではないだろうか。
(取材・文/しらべぇ編集部・タカハシマコト)