蔓延する違法レーザーポインター 摘発も個人所持に規制なし

2016/09/21 05:30


Kyle Maass/iStock/Thinkstock
Kyle Maass/iStock/Thinkstock

我が国日本は、世界的に見ても厳しい銃規制を整備している。

たとえば22口径の拳銃は、よほどの至近距離でない限り相手に致命傷を与えることは難しい。「銃の本場」アメリカの人々は、22口径を「オモチャ」と言うほど。だが日本では、そんなオモチャのような銃ですら一般市民は所持できない。警察学校や自衛隊の教育大隊でも、新入りがまず真っ先に叩き込まれるのは「銃の厳正な取り扱い」である。

それだけ、銃は危険なものだ。

だがじつは、銃よりも射程が長く狙った相手を確実に傷つける道具が日本では野放し状態になっている。

それはレーザーポインター。



■ようやく腰を上げた政府

高出力のレーザーポインターによる事件は、以前から発生している。

だが、政府は一般市民によるレーザーポインターの所持に関して、あまり積極的に関与してこなかった。その結果のひとつとして、去年発生した「米軍ヘリ照射事件」がある。普天間飛行場上空の米軍ヘリに、会社経営者の男がレーザーポインターを当てた。

当然、犯人はこの事件の責めを追うべきだ。だが、これをきっかけにようやく航空法改正に動き出した政府も、腰が重いと言わざるを得ない。

今月、国土交通省は空港空域における飛行妨害を取り締まるため、航空法改正の方針を打ち出した。それによると、規制対象空域でレーザー照射を行った者には50万円以下の罰金が課せられるという。


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■偽造PSCマークも!

そうした動きと並行し、日本国内で違法レーザーポインターの販売を行っている業者の摘発も活発になった。

我が国において、最大出力が1mW以上の製品はPSCマークが付与されない。それはすなわち、市場への投入を禁じられるのだ。そのため、悪質な業者はPSCマークを偽造する。こうした偽ラベルなども、製品とともに中国で製造されることが多いという。

ところが、日本の法律で禁じられているのは製造と販売のみで、所持に関しては規制がかからない。また、海外のショッピングサイトで購入したものに関しても摘発の手段がないのが現状だ。


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■スポーツの妨害行為に使用

だが、こういうことは想像できないだろうか。

もしJリーグでレーザーポインターによるプレイ妨害が発生したら、クラブやコミッションはどのような対応を取るのだろう。

もっとも、遠距離からの悪質な妨害行動はすでにJリーグのピッチで発生している。2012年9月、FC東京サポーターの中学生が対戦チームの選手にレーザー照射を行った事件もあった。

問題は、このようなことが今後頻発したらどうするのか。現にヨーロッパのリーグやナショナルチーム戦では、レーザーポインターが「あって当然」になってしまっている。

そうした悪しき風習が、日本に伝わらないとも限らない。また、高出力のレーザーポインターを眼球に向ければ、いとも簡単に網膜を破壊することができる。まさに「武器」と表現するべき代物なのだ。

被害者を発生させないためにも、早急の対策が政府や地方自治体に求められている。

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(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一

犯罪法律サッカー取材
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