JAL機内食に採用も!震災復興に立ち向かう熊本の蔵元が試飲会に集結
今年4月に起きた熊本地震では、尊い人命が失われ家屋や道路などに大きな被害が出た。さらに、地元の産業も甚大な被害を受けている。
日本酒の世界では、複数の蔵元が深い痛手を負いながらも、「吟醸酒」に革命的な貢献をした『熊本酵母』が守られたことをしらべぇでも以前お伝えした。
そんな熊本の3蔵元が参加する試飲会が、東京・渋谷で開催されたので、しらべぇ取材班も行ってみることに。
全国の若手蔵元が集まる試飲会『若手の夜明け』は、東京や大阪、仙台など全国で開かれているが、今回初めて熊本の蔵元が参加。
もちろん、復興支援への思いが込められた計らいだ。
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■瑞鷹・花の香・亀萬の3蔵
満員の会場の中でも、熊本の3蔵『瑞鷹』『花の香』『亀萬』のまわりには多くの日本酒ファンが並ぶ。
それぞれの蔵元に話を聞いた。
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①瑞鷹酒造(熊本市南区)
九州料理に使われる「赤酒」の生産でも知られる瑞鷹酒造は、建物などに大きな被害があり、その画像を以前しらべぇの記事でも使わせていただいた。
現在も、仮の事務所・製造所での営業が続くが、震災前の8割くらいまで作業できる状況に復旧しているとのこと。
吉村謙太郎常務は、全国の日本酒ファンが応援してくれることに感謝を表しつつも、「『支援のために飲む』を超えて、本当においしい酒として選ばれなければ」と気を引き締める。
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②花の香酒造(玉名郡和水町)
和水町は熊本県の北東部、福岡県との県境に位置する。4月の震災では、蔵の前の道路や貯蔵タンクなどに被害が出た。
地震の直後、熊本市は給水が止まっていたため、花の香酒造ではポリタンクを集めて、1週間で18トンの仕込み水(井戸水)を市内に送ったという。
震災後、注文がパタリと止まったが、関東などの特約店(酒販店)が、「心配しなくても大丈夫だ」と発注してくれたことが、大きな助けになった。
また、11月からはJAL国内線のファーストクラスで、花の香酒造の大吟醸が提供されている。
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③亀萬酒造
鹿児島県に近い葦北郡津奈木町にある亀萬酒造は、創業が大正5年。100年の歴史を誇る蔵元だ。清酒を醸造する蔵元としては、日本で最南端となる。
4代目を嗣ぐことになる杜氏の竹田瑠典氏は、下野杜氏で有名な栃木県で修行。熊本に戻ってからは「天然醸造」にこだわった、人の手の温もりある酒造りに邁進している。
蔵元たちは皆、「支援で飲んでもらえる『次の一杯』」を意識して、思いを新たにしていた。
震災復興は、長い道のりとなる。お酒を嗜む人は、晩酌の一杯に時おり、熊本の日本酒を思い出してみていただきたい。
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(取材・文/しらべぇ編集部・タカハシマコト)