「派遣」の時給、3年ぶりマイナスの統計 最低賃金はプラスへ
求人求職支援サービスを展開する「エン・ジャパン」(東京都港区)が11月14日、同社が運営する派遣ポータルサイト「エン派遣」への掲載求人からまとめた派遣社員の平均時給額を発表した。
今年10月の三大都市圏(関東・東海・関西)における平均時給額は1,537円と、2年11カ月ぶりに前年同月比マイナスになった。
■関東は1,600円割れ
都市圏別の平均時給では、東海と関西でそれぞれ1,344円、1,351円、と横ばい。一方、関東では1,595円と1,600円を割り込んでいる。
職種別の平均時給では、慢性的な人手不足が叫ばれているはずの「医療・介護系」で下落が激しく全体の数値を押し下げた。前年同月比では、昨年10月の1,372円からマイナス131円の1,241円と、9.5ポイントの下げ幅になった。
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■人手不足でも「値崩れ」
人手不足なら時給が上がっていいはずだが、資格はあっても実務の経験がない人や、資格がない人でも採用後に資格の取得を支援することを念頭に置いての求人などが増えたことで、時給が「値崩れ」を起こしたとみられる。
「医療・介護系」の世界では、もはや実務経験者や有資格者に限っての募集では求人が間に合わなくなっているのだろうか。仕事のきつさと給与の低さが見合わないと問題視されている業界だけに、今後の成り行きが気になるところだ。
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■最低賃金は800円超え
なお都道府県別に定められている「地域別最低賃金」の加重平均額は、同じく10月に初めて800円を超えた。
時給1,000円の確保を目指す政府の方針もあって大幅な引き上げがあったとされるが、最も高い東京都では932円、最も低い宮崎県・沖縄県では714円と格差が見られる。
また時給1,000円ではまだまだ低いと指摘する向きもあり、1,500円程度を望む声も聞かれる。
昨年12月、全国の10代〜50代の男女308名を対象に「最低賃金が1,500円(時給)に引き上げられるのは『高い』と思う? 」かという内容で行った調査では、3割以上が「高すぎる」とした一方、6割以上が「高すぎるとは思わない」と回答している。
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(文/しらべぇ編集部・前田昌宏)