【おんな城主直虎】主人公・直虎にじつは男だった可能性が浮上!
これは井伊直虎と名乗った女性の戦国一代記だ。現在の静岡県浜松市北区伊佐町に井伊谷という地名があるが、そこは代々井伊氏の領地。
ところが井伊氏は16世紀中葉まで、今川氏の従属豪族に甘んじていた。しかもその井伊氏には、まったくと言っていいほど男子に恵まれない時期があったのだ。そこで当主に抜擢されたのが、「次郎法師」という名で出家していた女性。
これが井伊直虎だ、と言われている。
■直虎男性説
ところがここに来て、直虎は男性だったのではという新説が浮上した。
先ごろ京都市にある井伊美術館が「直虎が男性だったかもしれないことを示す古文書が見つかった」と発表。この古文書『雑秘説写記』によると、「井伊次郎」という男性が16世紀中葉に存在したとのこと。少々ややこしいが、井伊氏には「女性の次郎法師」と「男性の井伊次郎」がいたということだ。
では、どちらが「井伊直虎」なのだろうか?
それについての新史料は、まだない。そもそも井伊直虎という人物自体が謎に包まれている。彼女(彼?)について書かれている史料が、極端に少ないのだ。
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■一次史料は未だ発見されず
だからこそ、より様々な想像を膨らませることができる。この新発見が、むしろ大河ドラマの宣伝になったという声も。
繰り返すが、この新説はあくまでも「直虎は男だった可能性」を示唆するもの。この当時、井伊氏の後継者が次郎法師(女性)と幼少の虎松(のちの井伊直政)しかいなかったことに変わりはなく、「虎松が成長するまでのつなぎとして次郎法師が井伊氏当主になった」説には強固な整合性が備わっている。
『おんな城主直虎』の舞台は静岡県だが、シナリオの主軸となる浜松市や静岡市では「直虎=女性」という前提で大河ドラマ特需に備えている。「直虎男性説」の発表を気にしている様子はなく、浜松市内にある戦国史跡などでは「井伊直虎ゆかりの地」ののぼり旗がすでに準備済み。
そして付け加えれば、日本の戦国時代において「おんな城主」は何も直虎だけではない。
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■各地に存在した「おんな城主」
おつやの方という人がいる。彼女は織田信長の叔母で、今の岐阜県恵那市にあった岩村城の城主。
この女性は、悲劇の人として知られている。武田信玄の西上作戦の際、多勢に無勢と見たおつやの方は信長を裏切って信玄に味方する。この当時、信玄は鬼神のような強さを発揮していた。
だが最終的に、信玄は西上作戦の半ばに死亡。後継者に選ばれたのは、勇猛果敢だが戦略眼に欠けた武田勝頼だった。こうして武田は滅亡の道へ向かうのだが、一度織田を裏切ったおつやの方は元の鞘に収まることを許されず、甥の手で処刑された。
また、九州には立花誾千代という人物も。「雷神」と呼ばれた立花道雪の一人娘で、やはり「男子の後継者がいない」ため城主になった女性だ。
「おんな城主」は決して突飛な作り話などではなく、むしろ戦国だからこそ「あり得る話」なのだ。
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