動物園のクマ担当者が語る「近頃のヒグマは人を恐れず襲ってくる」
ヒグマに襲われる事件が多発! 山に入る時は近隣の情報を確認しよう
4月16日、北海道で山菜採りをしていた男性がヒグマに襲われる事故があった。もし登山をする場合など、クマと出会わないためにはどうすべきか。
しらべぇ取材班は、東武動物公園のクマ担当の飼育員に話を聞いてみた。すると、「近年のヒグマにはヒトを恐れないタイプが増えている」との興味深い話が聞けた。
■ヒグマには2タイプある
ヒグマ飼育担当者:近年のヒグマは2種類に分けることができるのではないか? との説を研究者から聞いています。人に近づこうとしない従来のクマと、人を見つければ積極的に近づいてくるクマです。
後者のタイプのクマが数を増やしているそうです。なぜ近づいてくるのでしょうか。もともとクマは好奇心が強い動物です。特別好奇心が強ければ人を見つければ寄ってくることもあります。
しかし、人の味を覚えたクマが近づいてくるのではないか、と考えられています。
実はニュースになっていないものの、クマに襲われて食べられてしまった登山客は存在しているようでして、人間は他の獲物よりも簡単に獲れます。
なので、人間を好んで襲うクマが増えつつあるようです。絶対数は少ないのですが。
積極的に人間で襲うクマがいるのはとてもおそろしい。有効なクマよけの手段はあるのだろうか。
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■クマと出会ったら、死んだふりは絶対ダメ
ヒグマ飼育担当者:熊よけの鈴は6割から7割のクマに対しては有効です。しかし、人に近づくタイプのクマは、鈴の音を聞けば寄ってくる危険性があります。
もしクマと出会ってしまったら、死んだふりは絶対してはいけません。
例えば人間に寄っていくタイプのクマでなかったとしても、死んだふりをしている人間を見つけたら、「なんだろう?」とひっくり返してしまいます。そこで驚いて動いたら、すぐ襲われてしまうでしょう。
ヘビを恐れるとの話もあり、ベルトを投げれば効果的との話もありますが、ヒグマの生息地域にヘビはあまりいないため、そこまで有効ではないように思います。
逆にクマの好奇心を利用して、手持ちの荷物をおいて、そちらに注意を惹きつけている間に、こっそり逃げるのが効果的な逃走手段でしょう。ただ成功率はおそろしく低いです。
好奇心をくすぐる意味合いではベルトや荷物を使った「おとり作戦」は効果的なのかもしれない。だが、成功率は低いようだ。
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■クマを避ける上で一番やるべきこと
ヒグマ飼育担当者:クマが出没する時期は、近隣の村が把握していることが多いです。登山をするのであれば、村に確認をしておくとよいでしょう。時期さえ外せば、遭遇率はグッと下がります。
避けることの準備を怠らないことが、もっとも大事な予防策です。
ネットではクマを牛刀で倒したと吹聴していた男がいた。だが、その話をヒグマ飼育担当者にしてみると「クマは日本最強の生き物です。並の攻撃では傷をつけることも難しいでしょう」と困ったように笑っていた。
クマと対峙すれば、我々ヒトは襲う対象でしかない。動物園で、クマがどれほど愛くるしい動物であっても、注意を怠ってはいけない存在であることを充分理解しよう。
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