痴漢冤罪への対処を弁護士が解説 「名刺」「弁護士呼ぶ」「線路に逃亡」は有効?
痴漢の疑いをかけられた男性が線路に侵入して逃げる事案が多発。もっとも有効な対処法を弁護士が解説。
■「苗字と携帯番号」のメモを渡す
現行犯逮捕されないためには、「現行犯逮捕されない状況に移動してしまう」という手段が考えられます。
わかりやすく言えば、現場を離れるということ。現行犯逮捕するためには、法律上、犯行現場と逮捕現場とが場所的に密接であることが必要です。
駅から離れ、時間が経てば経つほど、現行犯逮捕は難しくなります。事件場所から数キロメートル離れ、さらに数時間経過していれば現行犯逮捕は実質的に困難な状況といえます。
もっとも、ただ逃亡しているという状況では、後に令状を取得した警察官により通常逮捕される可能性もあります。なので、「ただ逃げているわけではない」ことを記録として残しておくことが重要です。
例えば、その場にいる人間に苗字と携帯番号を伝えメモを渡すことが考えられるでしょう。
なお「名刺を渡せばよい」という見解もあるようですが、名刺には会社の電話番号や所在地が書いてありますから、警察が会社に突然やってくるという可能性を残すことになります。名刺を渡すことは避けたほうが無難でしょう。
「その番号が本当かわからない。名刺を出せ」と言われたら、その場で電話して「正しい番号」であることを証明してください。
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■「その場で弁護士を呼ぶ」は現実的でない
また、「その場で弁護士を呼べばいい」という見解もあるようですが、知り合いに弁護士がいるという人は多くはないでしょうから現実的ではありません。
また、弁護士の立場から言っても、知らない相談者から「今すぐ来てくれ」と言われても、実際に日中はスケジュールが埋まっていることがほとんどで、現場に急行することはかなり困難です。
このように、現場にメモを残しておくと、おそらくその後、警察から連絡があるでしょうから、自分は痴漢をしていない旨と弁護士に相談する旨、後日呼出しにはきちんと応じ潔白を主張する旨を伝えます。
■「線路で逃げる」は違法行為
以上が大まかな初期対応となります。その後は、具体的状況により対応も異なりますから、刑事に強い弁護士に相談してみるとよいかもしれません。
なお現場から離れる際に、線路に立ち入るというのはいくら焦っているとしても、鉄道営業法違反や威力業務妨害罪に該当する行為です。多大な迷惑をかけることになるので、絶対に避けなければいけないことは言うまでもありません。
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