7月1日施行「特定異性接客業務に関する条例」でJKビジネスは変わるのか

東京都が施行する「特定異性接客営業に関する条例」でJKビジネスはどのような変化を見せるのか。弁護士にも話を聞いてみた。

2017/06/30 12:00


秋葉原

女子高生と散歩する「JKおさんぽ」など、問題が指摘されるJKビジネス。東京都では、その規制のため「特定異性接客営業等に関する条例」が7月1日に施行される。新条例でJKビジネスを変えることができるのだろうか。



■「特定異性接客業務等に関する条例」って何だ?

「特定異性接客営業等に関する条例」とは、「カフェ」「コミュ」「リフレ」「お散歩」などの形態で営業を行う、いわゆるJKビジネスの規制を行う条例だ。主に重要なポイントは、以下の3つになっている。

①営業の届け出制:営業開始には、間取りや営業時間を表記した届け出を東京都公安委員会に行う。内容に変更がある場合は、「変更届」の提出が必要。


②営業停止命令、警察の立ち入り検査:条例違反があった場合は「営業停止命令」や「警察の立入検査」を受ける。


③従業員の衣服に関する取り決め:「制服や水着」など「客の性的好奇心をそそる」可能性がある衣服では営業できない。


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■従来の法律とはどう違うの?

今までも、JKビジネスでは「児童福祉法」や「労働基準法」で摘発された例が多く存在している。では、新条例は今までの法律と何が違うのか。具体的には、以下の4つを条例に明記し、法律で取り締まれなかった部分を補強していくという。

・営業実態の把握が難しかったが、営業の届け出や従業員名簿の備え付けを命じることで、「実態の把握」が可能になる


・条例違反があった場合は「営業停止命令」や「警察の立入検査」をおこなって良い


・「客引き」や「広告物の配布」などを禁止し、児童に対する勧誘の取り締まりが行える


・従業員の衣服に明確な決まりはなかったが、明確な決まりが作成された


しかし、状況が大きく変化するかというと、疑問が残る。児童買春、JKビジネスの温床と言われている秋葉原においても児童買春の実態は見つからず、18歳未満の児童を扱うお店も全体の数%ほど。

今回の条例、「JKビジネス」という言葉はなくせても、根本の営業形態を変えることは難しいのではないだろうか?


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■弁護士の見解は…

この件について、レイ法律事務所・代表弁護士の佐藤大和先生にも話を聞いた。

佐藤弁護士:今回の新条例の施行ですが、個人的には大きな意味を有していると思っています。


今回の条例は、18歳未満を対象してビジネスを禁止したことに大きな意味があります。現在の法律では、18歳になればAVにも出演できますし、キャバクラでも働けます(親の同意が必要ですが)。そういった意味で、18歳以上の女性について触れていないのは当然です。


また、「JKビジネスという言葉をなくすための条例であり根本の営業形態を変える条例ではない」としていますが、必ずしもそうは言えないと思っています。


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■権利を守りつつ、保護する規制

佐藤弁護士:ただ、「JKビジネス」という言葉をなくすためではなく、18歳未満を「スタバなどの飲食店と区別」して、JKをウリにしたお店で働くことを禁止した条例であるため、こういったお店がなくなることだけでも大きな意味があると思っています。


もちろん、スタバや他のJKをウリにしていないお店でも、児童買春の可能性はあります。しかし、そうなってくると、18歳未満のアルバイトを禁止するという過度な規制が必要になってきます。


そうすると、18歳未満の働く権利を制限し、過度に経済的な自由を制限することなり、憲法違反の可能性すらあります。


そういった意味で、今回の条例は、18歳未満の働く権利や経済的自由を考慮しつつ、青少年を保護するための必要最低限の規制となっており、JKビジネスを撲滅するための大きな一歩になると思っています。


実際にこの条例が施行され、東京の街がどう変わっていくのか。今後も注目していきたい。

(取材・文/しらべぇ編集部 取材協力/レイ法律事務所佐藤大和弁護士

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