『ポッキー<THE MILK>』デビュー!みんなで分け合うからできること
『ポッキー<大人のミルク>』が9月5日『ポッキー<THE MILK>』に生まれ変わって新登場。Share happiness!の現場は…
提供:江崎グリコ「ポッキー」
■難しさを分かち合う現場の心意気
そうは言っても、実際に製造する現場は大変だ。三木さんも「工場に行ったら、僕はもう何もできないので、祈るだけです」と、笑顔を見せつつも神妙な表情になる。
「現場の状況を見せて、説明して、『これはできないだろう』と洗脳して(笑)、『そうやな』と理解してもらって帰らせるんですけど、結局また『こうやったら、できませんか?』って来る。
本音では『元の形に戻します』って、早く言ってくれないかなあ…って、思っていましたよ。(笑)でも『できひんやんけ』と言っている時点で、どうやったらできるか、考えていますよね」
冗談を交えつつも、そんなカッコイイことを言うのは、『ポッキー<THE MILK>』を製造する機械の調整を担当する関東グリコ 北本ファクトリー技術課の田代忠浩さん。(写真左)
「テストのたびに、全然違うアプローチのものを持ってくる。そうやって“どうにかして実現したい”という本気が伝わってくると、現場としても“なんとか応えたい”って気持ちになります。
そういう部分を部下や、一緒にラインに立つパートさんたちにも共有すると、大変なことを乗り越える動機づけになるし。そうやってみんなで、『こうやったら、できそう』って考えるんです」
田代さんの言葉に笑ってうなずきつつも、まじめに答えるのは、同じく北本ファクトリーで製造ラインを担当する製造課Pz係の新井宏典さん。(写真右)
■一人の本気が増殖するチーム
しかし、マーケティング担当である三木さんですら「もうムリかも」と思った製法である。一体、どうやって完成に至るまで、モチベーションを維持できたのか?
前出・鋤本さんと共に、製造工程で生産可能な方法を模索した、江崎グリコ SCM本部 技術開発部生産技術グループの廣實倫明さんは、こう語る。
「現場で、担当だった同じ技術開発部の林田裕樹くんと一緒に、みんなでキャッキャ キャッキャ言いながら、あれこれ試してもできない。またキャッキャ言いながら、これなら…って次を試す――ってことの繰り返し。
でも、10人関わる人がいて、みんなが『ムリだ』って思っていたとしても、1人でも本気の人がいたら、それが少しずつ増殖するんですよ。最初は三木さん1人が本気で、それが伝わって、鋤本さんが『三木さんが本気でやりたいみたいだから…』と本気になって…って、どんどん増殖していくと、最後は全員が本気になってる(笑)」
■つながるデザイン
「この商品のメインはミルクチョコレートですが、プレッツェルの部分にこだわりがあったので、パッケージのデザインを決める時、最後までミルクを表現するのか、迷いがありました」(三木さん)
それを後押ししたのは、前出・中村さんの消費者への調査結果と、パッケージデザインを担当したマーケティング本部 広告部デザインチームの片山千絵さんのクリエイティブだ。
「定番商品にすることが、まず頭にありました。そのためには、いろんなことを言いすぎてはいけない。でもシンプルにするほど、差別化が難しい。
その中で、複数案を出しながら『ミルクチョコレート』がメインだという点は、ブレないデザインにしたかったんです。
また、細かいこだわりですが、絵柄をつなげる――模様合わせできるようにすることで、売場での視覚的な拡張も狙いました」
『ポッキー<THE MILK>』は1つだけで見た時にはわからないが、パッケージを横に並べると、模様がつながるようにデザインされている。
そのデザインを見た時、多くのことを分かち合って完成されたこの商品は、それを食べる人に「Share happiness!」を提供すると同時に、同じ味を楽しむ人たちをつないでいる――見知らぬ誰かとも、美味しい体験を分かち合っている――そんな姿が思い浮かんだ。